INTERPRETATION

第33回 異文化との出会い

原不二子

Training Global Communicators

 振り返ってみると、母が私に残した大きな遺産は、異文化への誘いにあったと思います。

戦後、満州から引き上げてきた先で、カトリックの尼僧たちが営んでおられた小さな英語スクールに入れてくれたこと、高校1年の夏に、英国に行く機会を与えてくれたこと、大学を中退してでも世界を肌で感じる機会を勧めてくれたこと、などが今の私をつくったと思います。

若いうちに異文化に触れることで、心の窓が1つ大きく開き、それが新しい出会いにつながったからです。

 自身の経験に基づき、昨年の東日本大地震、福島での東京電力第一原発事故により、今までの生活が失われた被災地の青少年が、この先より広い世界に目を向け、夢を大きく膨らますきっかけになれば…との思いから、この夏、留学支援を視野に入れた英語強化合宿を北海道の地で開催したいと思っています。青少年が元気になることが、故郷の復興、日本の元気につながると思うからです。

原 不二子

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原不二子

上智大学外国語学部国際関係史研究科博士課程修了。 祖父は「憲政の父」と呼ばれた尾崎行雄、母は「難民を助ける会」会長の相馬雪香。母の薫陶により幼い頃からバイリンガルで育ち、21歳の時MRAスイス大会で同時通訳デビュー。G7サミット、アフガニスタン復興会議、世界水フォーラムなど数多くの国際会議を担当。AIIC(国際会議通訳者協会)認定通訳者で、スイスで開催される世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)、ILO総会の通訳を務め、最近では、名古屋における生物多様性(COP/MOP)会議、APEC女性リーダー会議、アジア太平洋諸国参謀総長会議、ユニバーサル・デザイン(IAUD)会議、野村生涯教育センター国際フォーラム等の通訳を務めている。

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