INTERPRETATION

「キャンパス紹介」

木内 裕也

Written from the mitten

こちらに梅雨はありませんが、ハリケーンシーズンの到来とともに、直接被害にあうことがなくても、ハリケーンの残骸の雲の影響で突然の嵐に襲われることもある最近のミシガンです。しかし普段は暑すぎない晴天の日々が続いています。緑もきれいに色づいてきました。そこで今回はキャンパス紹介をしたいと思います。特に日本の大学ではなかなか見ることの出来ない、アメリカのキャンパスならではの部分に焦点を当ててみます。

 過去のブログにも書きましたが、ミシガン州立大学は広大な敷地が特徴の一つです。もともとは農業系の大学として設立され、今でも関連のプログラムは全米でも非常に高く評価されています。したがって、写真のようにキャンパス内で馬や牛を見かけることが出来ます。私の研究室から車で五分も走れば(五分走ってもキャンパスの中なのが驚きです)、牧場のような雰囲気が広がります。そこで行われた酪農の牛乳を使ったチーズやミルクが販売されているのは、以前述べたとおりです。

 牧場のすぐ近くにはゴルフ場もあります。これは教職員の福利厚生施設であると同時に、一般の人も安くプレーすることが出来ます。しかし本来の目的は教育です。ミシガン州立大学には養生など、緑の手入れを専門とするプログラムがあります。その学生達が芝の手入れの実習を行うのです。多くの卒業生は世界中の一流ゴルフ場や、運動競技場の管理会社に専門技術者として就職しているようです。

 同じように、ホテルなどでの接客や調理を専門とする学生の訓練の場としてホテルと会議場もキャンパス内にあります。通常のホテルと同じ扱いで、学生にとっては格好のトレーニングの機会です。会議などで大学を訪れる人はよくこのホテルに泊まるとか。また、大学が主催する学会やパーティーの多くは、この会議場や併設のレストランで行われます。ゴルフ場もホテルも、教育と実益の両方を目的とした効率性が特徴です。

 アメリカの大学ではフットボールが大きなスポーツです。私の大学にも、巨大なスタジアムがあります。75,005人を収容することが出来ます。VIP席、売店、レストランなど様々な施設がそろい、日本にある一般の競技場とまったく変わらない雰囲気です。残念ながらフットボールほど人気のないサッカーの試合は、このスタジアムの外にある数百人収容のフィールドで行われています。

 ミシガン州立大学にある面白い施設として、プラネタリウムを挙げることが出来ます。こちらも天文学などを専門とするプログラムの施設として始まりましたが、今ではスクールバスや観光バスで来訪客が集まる人気です。私はまだ行ったことがありませんが、噂によると結構楽しいそうです。

 大学院生や研究者の中には、結婚しているだけでなく、子供のいる人もたくさんいます。そんな人のために、キャンパス内に国の認定を受けた幼稚園もあります。子供をこの幼稚園に通わせている友人も数名います。

 今回は日本の大学キャンパスで目にすることのできない施設をいくつか紹介しました。敷地が広い、キャンパス内に住んでいる学生や研究者が多い、などといった日米の違いに由来する点も多いでしょう。色々な施設がそろっていると、構内で用事が済ませられるので便利ですが、なかなかキャンパスの外に行く機会を失ってしまうことにもなります。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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