INTERPRETATION

「規模の違い」

木内 裕也

Written from the mitten

 先週の投稿でガソリン価格の話をしました。アメリカ人にとっては「高い!」と思われる値段も、日本のガソリン価格に慣れているとまだまだ安いもの。そこで「高いとは言っても、まだ日本に比べて安くて良いですね」というリアクションを何度かいただきました。確かにアメリカでガソリンタンクをいっぱいにするのに必要な金額は日本の半分程度で済みます。しかし同時に考えなければいけないのは、移動距離の違い。ニューヨークやボストンなどの街中に住んでいるのでない限り、日本とは比べ物にならない距離を車で移動するのがアメリカの生活です。こう考えると、距離感覚が日本とアメリカでは非常に違うことが分かります。

 例えば私が研究でよく行くデトロイトの図書館は約120キロ離れています。友人はやはり同じくらいの距離を車で運転して、週に3回、大学で授業を教えています。ニューヨークに住む友人の父親は週に5日間、片道90キロの道のりを何十年も通勤していました。審判仲間で一緒に飲みに行くことの多い友人は、私の家から110キロ離れています。夜の6時ごろに電話が掛かり、「今から来ない?」と誘いの電話が来ることも。飲んだ後は運転が出来ませんから、彼の家に泊まることになっています。またよく会う友人もやはり110キロくらい離れたところに自宅があります。車で迎えに行き、一緒にどこかへ行って、夜は家に送り、私が自宅に戻るとそれだけで1日の走行距離は300キロを越すことも珍しくありません。また数週間前にはミネソタ州に自動車で向かいました。ミシガンの自宅から1000キロ以上離れた場所です。途中何度か休憩を取り、食事をしたのですが12時間弱で到着しました。

 こんな風に気楽に長距離移動ができるのは、高速が発達していて、渋滞の心配がないからこそ。私の家から約5分で高速に乗ることができます。高速の制限速度は約120キロ。田舎の一本道だと、高速でなくても90キロ位の制限速度です。すると、夜6時に誘いの電話をもらっても、7時半前には友人の家に到着して、一緒に夕食を食べることができます。翌朝も朝6時に出発すれば、7時には自宅に戻ることができます。友人と遊びに行く場合も、午後2時に自宅を出発すれば3時に迎えて、どこかへ行ったり、食事をしたりすることができます。日本だと例え高速道路であっても渋滞を気にしなければなりませんし、一般道だと自転車のほうが早いのではないか、と思うスピードでしか走れません。

 私の生活パターンを考えていると、片道で100キロから150キロは簡単に移動のできる範囲です。日本だと確実に電車を利用しないと、なかなか移動が難しい距離です。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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