INTERPRETATION

「メディアの伝える内容」

木内 裕也

Written from the mitten

 アメリカは日本よりもケーブルテレビが人気で、100を越えるチャンネルを視聴している過程が少なくありません。もちろんケーブルテレビの契約をせず、基本の3チャンネルだけで十分と考える友人もいますが、ほとんどの人は基本サービス程度のチャンネルを契約しています。基本パッケージには大抵、複数のニュース専門チャンネルが含まれています。CNN、CNN Headline News(CNNHN)、FOX、MSNBCなど。定時のニュースを待たずに、いつでもニュースが見られるのは非常に便利なものです。特に朝食や昼食を数分で急いで食べるとき、とりあえず今のニュースを知りたい場合などはとても役に立ちます。

 ニュース番組があれば便利ですが、それらのニュース番組がどのようなニュースを流すかも同時に重要なポイントです。FOXはめったに見ることがありませんが、CNNやCNNHNを見ていると、時にその内容が本当にニュースであるのか、疑問に思うことがあります。

 例えば最近の例では8つ子を産んだ母親の話題が、未だに頻繁にテーマに上っています。倫理的に正しいことだったのか、子供を施設に預けたほうがいいのか、そもそもこの母親はどのような人物なのか、など少なくとも私がニュースとして期待している情報とは違う種類の情報が提供されています。また誘拐事件が起こると、家族や近所の人々にインタビューをして長時間を割いた報道もなされています。

 いくつかの例を見てみると、CNNHNは情報を提供しているのか、それとも情報の分析を提供しているのか、興味深い違いに気づくことがあります。「今何が起きているのか」がニュースであれば、CNNHNの行っているような分析や、視聴者の意見をまとめる手法は、本来のニュースから考えると発展形といえるでしょう。しかし1つのニュースについて関係者の意見を聞き、分析をして、視聴者の賛成意見や反対意見をまとめるのもニュースとすれば、CNNHNの方式は理にかなっているといえます。ただ、8つ子の母親に未だに焦点を当てているのが望ましいかは議論の余地があると思います。

 アメリカのニュースや新聞が国際問題に焦点をなかなか当てないのは、昔からよく言われてきたことです。私の学生も非常に国際情勢に関する知識が限られていて、時に驚かされることがあります。また国際問題は特定の内容に偏ることから(戦争や紛争、経済摩擦など)、国際情勢に対して偏った見方をする傾向にあるのも事実です。それに加えて、ニュースの世界では中心的な役割を果たしてきたCNNがエンターテイメント性のあるニュースの報道に力を入れることで、アメリカ人の世界観により大きな偏りが生まれるのではないか、と感じることがあります。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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