INTERPRETATION

学習低迷!それでも続けること

柴原早苗

通訳者のたまごたちへ

 4月から始めたフランス語学習。先月中旬に受けたフランス語検定5級で何とか合格できそうとわかった安堵感ゆえか、最近学習ペースが低迷しています。

当初私が立てた計画は、以下の3点から成り立っていました。

1. NHKフランス語ニュースのポッドキャスト(15分間)

2. NHKラジオ フランス語講座(15分間)

3. 「トレーニングペーパー」(文法問題集)(45分間)

 

 カッコ内に示してある時間は、毎日費やす勉強時間です。上記3つのうち、最近では「3」の文法問題集において、ペースが落ちてしまいました。

 この問題集を始めたのは4月27日でした。35日間完成の問題集ですので、最初の計画では6月11日までに仕上げようと思っていました。目次に記録した日付を見ると、5月までの間はほぼ毎日取り組んでおり、目標の6月11日は超えてしまったものの、6月16日まで何とか続けていたのがわかります。

 フランス語検定が実施されたのは6月21日です。その時点で、私は問題集の27日目までを終えていました。ところが「合格ライン突破」とわかった途端、何やら気が抜けてしまい、残りの8日分に取り組むのが億劫になってしまったのです。それでも何とか机に向かい、とりあえず30日目までは終わりました。

 これがいわゆる学習スランプなのでしょう。あるいは、意気込んで走り始めたものの、スタミナ切れしてしまったのかもしれません。いずれにせよ、「あと数日分で完成するのに〜!」という状態の問題集が机の上に置かれることとなりました。

 「この分厚い問題集の5分の4はやり遂げたからすごいじゃない!あと5分の1だから頑張ればできる!!」ともう一人の私が心の中で言います。ところが真の私はと言えば、「わかってる、やればいいのはわかってる。あれこれ考えずに‘Just do it!’ということ。だけど・・・」と考えてしまい、どうしても重い腰が上がりません。

 これにはいろいろと理由があるでしょう。「合格したという達成感」、「機械的に文法問題ばかり解くことに飽きてしまった」「文法力はそこそこでいいから、早く本来の目的であるフランス語ニュースの理解に向けた勉強を始めたい」などなどです。要は、どのような学習者であれ、必ず直面するスランプに私も今、遭遇しているというわけです。

 ではどうするか?2通りのとらえ方があると私は思います。

考え方1: 「あとちょっとで完成する問題集を途中で投げ出してしまった」と自分の継続力のなさを責めて悔やむ

考え方2: 「そうは言っても、とりあえずここまで頑張った。仏検も受験した。それに何よりも、ポッドキャストとラジオ講座は毎日続けている」と前向きに考える

 健全な精神衛生状態を持って勉強を続けたいというのであれば、後者の考え方をとるべきでしょう。確かに私自身、残り5日分を残したまま、問題集にほこりをかぶらせるのは本心ではありません。けれども、後ろ向きな考えを続けてしまえば、フランス語そのものに興味を失いかねません。何よりも、私には「ニュースがわかるようになりたい」という目標があることに変わりはないのです。だからこそ、敗北感を抱くのではなく、前向きに前向きに進んでいきたいと思っています。

 (2009年7月27日)

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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