INTERPRETATION

NHKラジオ講座にひと工夫

柴原早苗

通訳者のたまごたちへ

 4月から始めたNHKラジオ講座「まいにちフランス語」。いよいよ9月末で初級編が終了します。このラジオ講座は一年を半分に分け、上半期と下半期で担当講師や講座内容が替わる構成になっています。

 私は今年夏のフランス語検定5級受験に照準を合わせ、毎日聞いてきました。4月初めは学習開始の勢いもあり、せっせとラジオに耳を傾け、新出単語はすべて紙の仏和辞書で引いていました。また、重要構文を5回ずつノートに音読しながら書き写してもいたのです。しかし開講から1週間にして、音読書き写しは早くも挫折。仏検合格後は単語の辞書引きもやめてしまいました。現在はもっぱら「とにかくラジオを毎日聞く」を信条に、ゆるやかな勉強を続けています。

 これまでの半年間はなんとか一日も欠かすことなく聞き続けることができています。それはひとえに以下の3つを心掛けたおかげかもしれません。

(1)予習復習を厳しくしすぎない

(2)ただし、毎日必ず聞くこと。聞きそびれたらストリーミングで後日聞く

(3)番組放送中の15分間はとにかく集中する

 とりわけ私が重視したのは上記の(3)です。なぜなら番組中の15分間を目いっぱい使うだけでも、かなり有意義な時間を過ごせるからです。私にとって有益な方法は以下の3点です。

(1)テキストを見ながらシャドーイング

 番組では何度もスキットが音読されます。語学学習初心者にとってテキストなしのシャドーイングは難しいため、私はテキスト本文を目で追いながら、数秒遅れで毎回シャドーイングをするようにしました。番組では音読練習の際、講師が「では繰り返してみましょう」と指示を出しますが、それ以外の時間も「フランス語が聞こえたらとにかく声に出す」だけでも、読む絶対量は増えるはずです。

(2)訳文と本文にスラッシュを入れる

 意味や文章の切れ目にスラッシュを入れることで、意味のかたまりで文脈をとらえることができます。こうすることで、音読の際もかたまりを意識しながら読めるようになります。

(3)花マルやチェックボックスなどの活用

 私の場合、問題演習で答えが合っていたら、赤ペンで大げさなぐらい花マルをつけています。小学校のテスト答案のような感じですが、「やった〜!正解!」などと唱えながら花マルをつけるだけでも、モチベーションがアップしています。また、テキストには日付順の目次が出ていますが、そこにチェックボックス(□印)を書き添え、聞き終わった日はチェックマーク(✔印)を入れて、達成感を抱くようにしています。

 これら3つのポイントはわずかな工夫にすぎません。けれども、ややもすると孤独になりがちなラジオ学習も、こうした方法でやる気を維持することは可能だと私は思っています。初級編終了まであと10日。最後までがんばって続けていくつもりです。

 (2009年9月14日)

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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