INTERPRETATION

発音道場!

上谷覚志

やりなおし!英語道場

こんにちは。 前回ではSpeech Pathologyという仰々しい名前の発音矯正方法に出会ったという話をしました。では何を行うのか、どうやって発音を矯正していったのかを説明していきます。

Speech Pathologyのクリニックは基本的には一対一で行われます。その人がどういう音声面での問題を抱えているかは人によって違うので、それぞれの課題を洗い出します。

まず、数時間かけて自分の音のサンプルを取っていきます。Pathologistとの世間話や、ある特定の音を含んだ単語や文章を自分が読みそれを録音し、後日Pathologistがそれを全て発音記号に落とし、どの音で問題が発生するのか、そして問題は単語レベルで発生するのか、文章レベルで発生するのか、問題の発生頻度、発話スピードも含めて分析していきます。その結果が後日面談で説明されます。

私の場合、ある母音は5回中3回正しく発音できているとか、ある子音は単語レベルでは正確に発音できているが、文章や会話レベルではうまくできていないといった分析を行い、どの音をどのレベルで練習していけばいいのかを細かく打ち合わせを行っていきます。

これにより、これまではどこからどう手をつけていいかわからなかった発音の問題点がクリアになり、どの音が1番問題でどういう練習をすればいいのかを科学的な視点から分析判定されるので、非常に効率的です。

その後でPathologistと一緒に問題の音を一緒に練習し、自分の音と正しい発音を録音しさらに自宅で練習していきます。一旦自分の問題点がわかれば、あとはアメリカ人の友達に問題の音を聞いてもらい、合っているかどうかの確認と練習を繰り返しました。ただ英語ネイティブだからといっても音に敏感な人とそうでない人がいて、発音練習をする場合は、耳のいい人でないと難しいと思いました。

一週間ほど練習し、再度Pathologistと面談し、問題のあった音声が改善しているか、問題発生頻度が下がっているかどうか、文章レベルや自由に話したときではどうかというチェックをして、 次の課題をもらい、この作業を繰り返していきます。

オーストラリアにいたときも、同じようにSpeech Pathology Deptに行き、同じようなチェックをしてもらいましたが、最初に覚えたのがアメリカ英語だったため、特に母音において、“オーストラリア英語では言わないけど、アメリカ英語ならいうかもしれないし、ま あいいか・・・”ということを何度か言われました。

結局Pathologyによる発音矯正やその後の自己トレーニングを通して、“正しい”発音というものは、少なくとも英語に関しては存在しないのではと考えるようになってきました。最初のカッコよく発音したい!という意識から、アクセントを100%消すことは 無理だし、その必要もないのでは・・・という意識に変わってきました。それよりも intelligibilityを高めるということを目標としたほうが現実的かなと思えるようになってきました。

個々の発音を正しくする努力ももちろん必要ですが、intelligibilityを上げていくためにはアクセントの位置や抑揚の練習も大切です。品詞によってアクセントの位置がわかる単語、例えばrecord(名詞の場合は前、動詞の場合は後ろにアクセントが来て、母音の発音も変わります)などがその例です。アクセントの位置を間違ってしまうと、全く違った単語に聞こえてしまうので注意が必要です。それから抑揚が日本語のようなフラットなために英語としては少し聞きにくい場合もありますので、基本はこんなにオーバーに抑揚をつけたら恥ずかしい!と思うくらいで英語の場合はちょうどいいと思います。

音声面でどこまでこだわるのかは、最終的には個人の判断になってしまいますが、intelligibilityを上げていくために一度Pathologistのような専門家に音声面の課題を洗い出してもらうことはやってみて損はないと思います。

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記事を書いた人

上谷覚志

大阪大学卒業後、オーストラリアのクイーンズランド大学通訳翻訳修士号とオーストラリア会議通訳者資格を同時に取得し帰国。その後IT、金融、TVショッピングの社での社内通訳を経て、現在フリーランス通訳としてIT,金融、法律を中心としたビジネス通訳として商談、セミナー等幅広い分野で活躍中。一方、予備校、通訳学校、大学でビジネス英語や通訳を20年以上教えてきのキャリアを持つ。2006 年にAccent on Communicationを設立し、通訳訓練法を使ったビジネス英語講座、TOEIC講座、通訳者養成講座を提供している。

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