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ランチの女王

工藤浩美

工藤浩美の東へ西へ

私は本気でシナリオライターを目指していた時期がありました。2002年にフジテレビ月曜9時に放送された「ランチの女王」というドラマの脚本協力のオファーをいただきました。テンナインを起業して1年目、シナリオライターとしてもまだ駆け出しで、脚本家のたまごとも呼べない時期でした。もちろん1話全部書かせてもらえる訳もなく、脚本協力という立場で、ドラマの中のいくつかのシーンを書かせてもらいました。

撮影現場に招待していただき、主演の竹内結子さんに一度だけご挨拶させていただいたことがあります。美しくて、透明感があって、そして優しい笑顔で声をかけていただきました。テレビで拝見するのとまったく変わらない笑顔でスタッフ一人一人ともお話されていました。世の中こんなに素敵な女性がいるのかと心の底から感動しました。私が書いたエピソードを竹内結子さんが演じたシーンをテレビで観た時は、本当に幸せな気持ちになりました。

今回の突然の悲報を受けて、ご本人の辛い気持ち、そして残されたご家族のことを考えると胸が張り裂けそうになりました。本当にもっと、ずっと生きて欲しかった。心からご冥福をお祈りします。

シナリオの仕事をしたのは「ランチの女王」が最後でした。起業当初は営業、スタッフ登録面談、コーディネーション、その他雑務を全部自分でやっていたので、夜中仕事が終わって、それからシナリオを書くという生活でした。1週間で睡眠時間が合計4時間しかない時期もありました。シナリオライターとしてそれ程才能があった訳でもなく、体力的に両方続けるのは難しく、私はシナリオより会社経営を選びました。

それでもあのシーンを演じてくれた竹内結子さんの姿は、一生忘れず胸に刻んでおこうと思っています。

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記事を書いた人

工藤浩美

白百合女子大学国文科卒業後、総合商社勤務。
その後通訳・翻訳エージェントに2社、合計11年間勤務。通訳コーディネーターとしてこれまでに数百件の通訳現場のサポートを行なう。 2001年7月に株式会社テンナイン・コミュニケーションを設立。趣味はシナリオ執筆。

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