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携帯メールが怪奇現象だったんです〜

ぺこたん

通訳・翻訳者リレーブログ

先週、ある日突然、携帯へのメールが、ぴたり入らなくなってしまいました。はい、ある日突然に…です。

“あれっ?”…と思ったのは、パソコン・メールを開いた時。そこには何本も入っているのに、同時転送されるはずの携帯には、さっぱり、1本も入っていない。その数時間前から、“今夜の携帯、何だか静かだな”…と、ちょっと気にはなっていたのですが…。

実はこの“突然入って来なくなった現象”、過去にも2度3度経験していまして。でもその時はいつも、1日程度で、自然と元の状態に戻り。だから今回も、しばらく様子を見ることに。
はい、たかが携帯。慌てず焦らず苛々せず…です。

しかし…
まる1日が経ち。でも、まるで入って来ない。
少々焦り始めるわたし。
電池パックを入れ直したり、電源をオフにしたりオンにしたり。あれこれやってみるものの、でも相変わらず。シーンとしたまま。
いよいよこの携帯も、壊れてしまったか。でも、まだ2年しか経っていないのになぁ。だいたい、できないのはメールの受信だけだし…。

うーん。

そんなこんなやっている間に、まる2日が過ぎ。でも、変わらず、うんともすんとも言わず。
ああ、もう仕方あるまい。面倒だけれど、サポート・センターに電話してみることに…。

わたし: 「すみません。メールが突然、受信できなくなりました。それ以外のこと、メールの送信と電話とネットは、まるで問題ないのですが」
携帯会社: 「そうですか。(しばしの沈黙の後)充電はしてありますか?」
わたし: 「はい」(…だって他のことはすべて問題ないって言ったじゃん!)
携帯会社: 「そうですか。(しばしの沈黙の後)電波の届く場所にいますか?」
わたし: 「はい」(…だって他のことはすべて問題ないって言ったじゃん!)
携帯会社: 「そうですか。(しばしの沈黙の後)月々の支払は済ませていますか?」
わたし: 「はい」(…だって他のことはすべて問題ないって言ったじゃん!)
携帯会社: 「そうですか。(しばしの沈黙の後)では……」
わたし: (おいおい、まだ続くのかよぉ!)「あっ、もういいです。もうしばらく、様子をみることにします」

ガッチャン!
そうやって、永遠に続きそうな、この無意味な会話を、無理矢理終わらせたのであります。

苛々、逆に倍増。
嗚呼。

しかし、こんなことで苛々したり、不便を感じたりするなんて…。こんな平成って時代を生きるわたしって、いったい、ナニ??

だって考えてみれば、ほんの10年くらい前までは、こんなモノ、持っていなくても、世の中ちゃんと回っていたし、仕事できていたし、みんな平和に生きていましたもん。

まぁ、なかなか会えない人とも、マメに連絡がとれるし、忙しそうな人が相手の場合、電話するのは躊躇してしまうけれど、メールであれば、都合の良い時に読んで貰えれば良いので、こちらもいつでも遠慮なく、連絡が入れられる。
確かに、便利。

でも……

いまの時代、
何でもかんでも、短期間の内に、答えを出さなければならない。すぐに結果を求められる(求めてしまう)。すぐに返事しないと、あれこれ余計な心配をかけてしまう(余計な心配をしてしまう)。
待つことが下手になり、とてもセカセカした日々、送っている。
そんな生活をしていること自体、意識することもなく。
便利と不便の間にあるもの、それは何だろう?
何だかいつも、追われているよなあ…。
うん、確かに、便利ではあるけれど。

そうそう、
この“小道具”の出現によって、歌詞の世界も小説の世界も、ガラッと変わりましたよね。

だって…

すれ違いや誤解から生まれる、辛くせつない恋模様など、今のこの時代、わたし達の生活には、もうあり得ないことなわけで…。

だから、例えば……

愛する彼女の待つ場所へと向かう彼。
走って走って走って。息切らせ、胸躍らせ。
あぁもうすぐで、彼女の元へ!
…というところ、すぐその手前で、突然、車が突っ込んで来て、吹き飛ばされ。
一瞬意識を失い、担架に乗せられ。
気づいたら、そこは、緊急病院の集中治療室。

その頃、彼女は——
ひたすら、待ち続け。
彼が死ぬか生きるかやっているなんて、知るよしもがなく。
約束の場所にひとり立ち。時計を5分おきに、ちらりちらり。
“もおーっ。彼、どうしちゃったのかしら”
時間は刻々と過ぎゆき、日も暮れ、人影もまばらとなり…。
“あたし、フラれちゃったのかしら”
溜息まじり、後ろを振り返りつつ、ゆっくりその場を離れる彼女。
そうして失意の内に、明くる日、“何もいいことなかった、こんな都会、未練などないわ”…と、夜行列車に飛び乗り、故郷へと帰る彼女。

一方、彼は——
あの日から1か月が経ち、やっと普通病棟へと移され。
10円玉握り締め、公衆電話へ駆け込み、彼女のアパートの番号を回す彼。
ドキドキ、ソワソワ。
ところが…
“お掛けになった番号は、現在使われておりません”
…聞こえてくるは、無機質な声ばかり。
“どうしたんだろう?”
翌日も、翌々日も、受話器からは、同じ声が響くばかり。
“なんだよ、彼女。どこ行っちまったんだよ!”

やがて、ふたりの間に、歳月は流れゆき——
その頃、故郷で新しい出会いをする彼女。素朴で真面目な青年。
彼に思いを寄せられ、徐々に歩み寄る彼女。
やがて、その彼と人生を歩む決意をする。人生のリセット。
でも、ああ、愛するあの人は、いまいずこ。
彼のことが、いつまでも忘れられない彼女。
結ばれるはずだった男と女。
もう……なんてせつなく、なんて昭和なのだろう!

でも、平成の現在なら……

女: 「もしもし」
男: 「あっ、俺、俺!」
女: 「もう、どーしたの? ずっと待ってたのに!」
男: 「わるぃわるぃ。事故に遭っちまってさ」
女: 「え…え…っ??」
男: 「歩いてたら、車に轢かれちまって。参ったぜ、ったくよぉ。で、いま、OOO病院にいる」
女: 「やだぁぁぁぁあ! すぐ行くから、待ってて!」

チャンチャン。

あるいは、同じ内容のメールを1本入れれば、それですべてこと済む。
どっちにしろ、すんなり、ハッピーエンド。

そう、今はもう、男と女のすれ違い、せつない別れなど、絶対に起こり得ないわけで。
すべては、あの携帯ってヤツの出現で…。
ああ、平成とは

なーんて色気のない時代なのだろう。
いや、めでたしめでたし…で、だから、まあいいっかぁ…。
でも、ドラマは生まれにくくなり、文章書きは大変だろうなぁ。
なーんて、ぶつぶつ。

ああ、すんません。そうとう暴走…妄想…してしまいました。

で、で、わたしのアホな携帯、怪奇現象その後の話…ですが…。

ぴったり3日ぶりに、何の前触れもなく、ある瞬間いきなり、メールがドドドドッと入り始めたのです。同じ電波状況下で。何の説明も言い訳も、“ごめんなさいです”のひと言もなく。
はい、突然、いきなり…です。
まる3日ぶり、3日分が一気に。ですから、それだけで何分もかかり、それだけで充電サインが、2個ほど減り。

どうしてこんなことが起こってしまったのか…。それはナゾのまま。
いやはや。

でも、一気にすっきりしました。まるでノドに刺さったトゲが、ガバッと抜けて流れていったような…。

そうしてメール機能は、100%元に戻り、わたしは、携帯メールが受信できなかったことにより、人生が一変してしまった……というような悲劇に見舞われることもなく、こうして今も平和に生きています〜(*^_^*)

それにしてもこの3日間、なんて長く感じたことか! 長い人生の内の、たかが3日間…であるにも拘わらず…。
そもそも、なぜ、こんな薄っぺらで小さくてツルっとした角ばったモノの為に、こんなにも、右往左往しなきゃならないんだ?!
“ああ、くだらん!”…と思いつつ。
でもメール再開で、ほんと、心底ホッとしているのも、確かなわけで…。

だけど、うーん……
こんな平成を生きるあたしって、なんだかなぁ……

嗚呼〜〜(・_・;)

Written by

記事を書いた人

ぺこたん

高校までをカナダと南米で過ごす。現在は、言葉を使いながら音楽や芸術家の魅力を世に広める作業に従事。好物:旅、瞑想、東野圭吾、Jデップ、メインクーン、チェリー・パイ+バニラ・アイス。

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