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仕事に対する拘り

ぺこたん

通訳・翻訳者リレーブログ

先日、“仕事をする上で、日々拘っていること”についての文章を、書く機会がありました。なかなか面白かったので、今週はこの“拘り”について書こうと思います。

まず、お仕事のお話を頂いた時、第一に心掛けているのは、“即答すること”。メールに対しても、留守電メッセージに対しても、とにかくすぐに、お返事するようにしています。スケジュール調整などで、引き受けるか否か、即答できない場合は、そう伝えれば良いだけ。スケジュールがタイトで、でも“絶対にやりたい”と思うような場合は、その旨を伝え、交渉します。外出時のメールは、全て転送先携帯電話から。とにかく即答! 多忙な人ほど、それが出来ていますよね。見習いたいものです。

で、その“引き受けるか否か”ですが、スケジュールの問題は言うまでもなく、もうひとつ大切にしているのは、自分の“思い”。つまり、“心ときめかない”“よく知らない”アーティストや作品に関する仕事は、引き受けません。例えばラップやヒップホップの歌詞対訳。専門のベテラン対訳者がいらっしゃいますが、たまにお話が回ってくることも。でも、たいがいお断りしています。自信がない&責任が持てない=アーティストに失礼…ですから。

その対訳ですが、完成時に、どんなに完璧で満足のいく仕事が出来たと思っても、上がったサンプル盤を見て、“あぁ、ここはこうすれば良かった”と、反省点が次から次へと湧いてきては、落ち込みます。ので、最近はもう、反省はしつつも、クヨクヨ引きずらずに、次の仕事に心を移すようにしています。
対訳は本当に難しい。極端な話、細かい部分は、もう当事者に聞くしかないわけです。聞けたとしても、“韻を踏む言葉を並べただけ。別に意味はない”“色々な解釈をしてくれれば良い”などと言われることも多々ありますし。あぁあ。そう、私がやっている仕事の中で、対訳ほど、“完璧”を望めない仕事はないですね。大好きな仕事なだけに、うー、じれったい。

インタビューの場合は、そのアーティストの音をたくさん聴き、資料をたくさん読み、その人とその作品で、自分を一杯にします。そうして会ったら、まずは挨拶&四方山話。つまり、その場の雰囲気作り。どんな仕事の場合もそうだとは思うのですが、でもこれ、その後のインタビュー内容に、大きく左右するので、とても大事にしています。“いつ来日したのか”“日本はどうか”“今日ウチで5本目? わぁ大変だ。でももう1本、我慢してくださいな”…などなど。
電話インタビューの場合は、相手の顔が見えず、どういう状況下にあるかが分からない分、直接インタビュー以上に、この“冒頭の会話”を大事にしています。“いまどんな町にいるのか”“何時か”“天候は”…というようなこと。
それから、どんな時にも、“この瞬間を楽しもう!”という姿勢。これ大切。そういう雰囲気の中でやれると、濃くて興味深いインタビューが出来ます。何よりも、相手に楽しんで貰いたいですしね。

そうして原稿書きの場合、忘れてはならないのが、締め切り日。もちろん守りますよ。でも、どうしても駄目な場合は、“あと1日欲しい”などとお願いしています。“急ぎの仕事”以外の場合はね。とにかく内容第一! 満足度90%の原稿を、締め切り日に入れるよりは、満足度100%の原稿を、半日や1日遅れで入れた方が良いですから。

拘りと言えば、もうひとつ。インタビュー通訳の必需品、ノート&ペン。ノートはいわゆるSteno book。再生紙(ツルツルでキレイな紙は駄目!)で、青い横線に、赤線が縦に1本入っていて、上部にリングが付いているアレ! 紙は白か、せいぜい薄黄色。“気にならない”色。高校時代の速記の授業以来の、お気に入り。そうしてテレビ等、移動が多い場合は、小型ノート。どちらにせよ、再生紙もの。あまり滑り過ぎたり、真っ白過ぎたりするものは、調子が出ないんですよ、私の場合…。
ペンは、BICのミディアム。例の黄色で安価なアレです。大学時代の同通クラスで、崇拝する先生(現役ベテラン通訳者)愛用のもの。実際、どんな高価なボールペンよりも、ダントツ使い易い。“万が一”の為に、これを束にして持ち歩いています。その方が安心します。アホみたいですが。
どちらも、仲間内では定番ですね。

それから、アーティストの裏話を、書いたり話したりする機会が、度々ありますが、これにはそうとう気を遣っています。契約書にサインをすることはないので、守秘義務は発生しないのですが。厳密に言えば。でも私は、その時々の媒体に、宣伝の一環として、記事を書くなりする為に、そのアーティストと接しているわけです。ですから、それ以外の場で、彼等の言動に関することを、闇雲に“ばら撒く”のは、私の考えに反します。

もうひとつ。アウトプットの仕事ゆえ、常々インプットを心掛けています。新聞、書物、雑誌、テレビ、美術館、街中の会話などなど。アンテナ張り巡らせまくり。無駄なものなど無し。何でも“栄養”になります。

とにかくです、一番大切なのは、相手への“思い”。あっ、いちファンのような、一途な思い…ではなく。そう、“距離の取り方”“客観的な目”。それを忘れちゃあ、あーた、お仕舞いよ。言うまでもありませんが。
そうして何よりも、“楽しむこと”。何たって、人生の多くの時間、仕事しているわけですから。うーんと楽しまなきゃ…ね!

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記事を書いた人

ぺこたん

高校までをカナダと南米で過ごす。現在は、言葉を使いながら音楽や芸術家の魅力を世に広める作業に従事。好物:旅、瞑想、東野圭吾、Jデップ、メインクーン、チェリー・パイ+バニラ・アイス。

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