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漢字でなければ罪作り!

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 不祥事で問題になったり倒産したりした会社が、名称を変更して再スタートを切ることがある。「心を入れ替えて真摯な気持ちでやり直します」との思いを名前に込めて再出発を図るのだ。
 で、その名前なのだが、どうも最近は「オールひらがな」が多いように思う。どうやら「ひらがなだと優しいイメージになるから」というのが理由らしい。私個人としては別にオール漢字でもカタカナでも構わない。しっかりと企業経営してくれれば十分という思いのほうが強いのだが、やはりそこは日本ならではなのか、イメージが重視されるようだ。
 現在私の住む「さいたま市」は今から数年前、浦和市、大宮市と与野市が合併してできた政令指定都市だ。新規都市名の選出にあたっては相当モメたらしい。公募では「埼玉市」が筆頭候補に挙がっていたのだが、結局有識者会議でひらがなの市名になってしまったのである。「何だか間延びするなあ」と当初は思ったものの、最近は市町村合併でどんどん新しい市が誕生し、ひらがな名も増えてきたので、これも一つのトレンドと割り切っている。
 ただ、断固漢字名を押し通して欲しいものがある。それはズバリ、昆虫の学術名!昆虫研究に余念のない息子は「うすばか・げろう ってね、アリジゴクのことなんだよ」と堂々と言ってくる。違う〜!いくらアリジゴク相手でもこれでは罪作りだ。正しくは「ウスバ カゲロウ」、または「薄羽蜉蝣」。漢字を見れば「羽が薄いフワフワした虫」と何となく想像がつく。ノコギリクワガタも「鋸鍬形」としたほうがゴツイ感じが出て良いと思う。でもなぜか学術名はもっぱらカタカナだ。これでは英語の医学用語同様、見ただけではさっぱりわからない。
 最近の新聞は「ら致」を「拉致」に、「補てん」を「補填」と表記するなど、ひらがなから漢字へと移行しつつある。今後は昆虫や動植物名もルビ付き漢字名で表記してくれると嬉しいのだが。

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記事を書いた人

かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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