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かゆみで欠けた集中力

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 8月上旬は散々だった。2日水曜日夜のこと。突然ひざから下が猛烈にかゆくなり、かき始めるとジンマシンのようなものが瞬く間に広がってしまったのだ。「蚊に刺されたにしてはおかしいなあ」と思いつつ、その日は就寝。ところが翌3日。夜になって再びかゆみが出てきて、いてもたってもいられなくなったのだ。
 今から5年前、ロンドン在住中のとき。夫も突然のかゆみとともにジンマシンが全身に広がったことがあった。つま先から耳の後ろ、顔までものすごい勢いで広がり、病院で抗ヒスタミン剤を処方され、ようやく何とか引いた。あの勢いでかゆみが広がったら怖い。それで私は急遽、夜間外来に駆け込んだのである。
 「食べ物アレルギー?ストレス性じんましん?」と思いきや、先生は「あ、これは毛虫に刺されましたね」と一言。「え〜、庭仕事なんてしていないです」と言う私に、「街路樹を歩いていて毛虫の毒針毛にやられたのでしょう。衣服に付いて、それを脱ぎ着するだけで全身に広がることもありますよ」とのこと。塗り薬と飲み薬を処方されて帰宅した。
 翌日から2泊3日で鳥取へ。親戚との久々の再会が嬉しくてビールは進むわ、海水浴は楽しむわで実に充実した休みとなった。が、これがいけなかった。東京に戻るや、かゆみが足から上半身へと移ってしまったのである。今度はかかりつけの皮膚科で診てもらったところ、「アルコールと運動は当分禁止」とのお達しを受けてしまった。元々アルコールはそれほど飲まないのだが、運動は日常生活の一部となっているだけに、運動禁止令はちょっとキツイ。でも早く完治したいので、今はじっと我慢の子だ。
 かゆみはいったん気になりだすと、どんどんかゆくなってしまう。何かで気が紛れていれば良いが、いつもそうとは限らない。現に放送通訳でスタジオに入っていたときに猛烈にかゆくなってしまい、「え〜い、ブースの中は誰も見ていないからいいや!」とばかり、ボリボリかきながらの通訳になってしまった。「レバノンを攻撃中のイスラエルは・・・」とか「国連安保理の決議案について・・・」などムズカシイ言葉を言いながら、手はひたすらポリポリガリガリ。こんな通訳は初めてだ。しかも次第に脳みそが「通訳作業」から「かゆみ対策作業」に移行してしまい、集中力が欠けていくのがわかった。「このままではマズイ!」と焦り始めた頃、パートナーと交代になった。ホッとした。と同時に、やはり通訳するときは痛かろうがかゆかろうが我慢して集中しないといけないなと反省したのであった。

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記事を書いた人

かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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