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アルバイト探し

さるるん@ロシア

通訳・翻訳者リレーブログ

先週、日本から一冊の本が届きました。
テンナイン経由で私も翻訳チェッカーとして関わった書籍です。先月ついに発行の運びとなり、コーディネーターさんが送って下さったのです。今までに実務翻訳の分野で自分の翻訳したものが印刷物になったことはあっても、ISBNがある書籍に関わったのは初めてだったので感慨深かったです。早速、翌日の午前中いっぱいかけて、自分が修正やコメントを入れた部分を中心にざっと目を通しました。自分のインプットが反映されていると嬉しいものですね! 貴重な経験になりました。

さて、本日のテーマは、モスクワでのアルバイト探し。
ダンナの2年前の体験です。急遽、短期アルバイトを探す必要が生じ、新聞の求人広告を見て、何社かに電話することに・・・。

【その1】
宅配便仕分け作業。ひととおりの説明の後で、「では、パスポートと800ルーブルを持って、オフィスに来てください。」 こっちが働いて報酬をもらう身なのに、なぜお金を払う必要があるのか? 

この求人広告を出していたのは、いわゆる「エージェント」。自分たちが宅配業をやっているのではなく、就職斡旋の名目でお金を取り、宅配業者のリストを渡すだけ。その宅配業者に雇ってもらえる保証はない。それでも、モスクワに何のつてもなく出てきた旧ソ連諸国からの移民たちは、わずかな望みを託してお金を出す。移民を食い物にしている詐欺まがいのエージェントは、少なくないらしい。

【その2】
配達のアルバイト。しかし、フタをあけてみれば、確かに配達もするけど、実態は本の「訪問販売」。提示されていた日給も、平均的な一日の収入というだけで、実は完全出来高制。一日歩きまわって一冊も売れなければ収入ゼロ。いまどきは、「訪問販売」なんて言うと、みんな敬遠して応募してこないので、求人広告には「配達」と謳っているらしい。

【その3】
電話で好印象を受けた会社に登録に行ったところ、先客が提出した登録書類の内容について会社の人に質問されているのが聞こえてきた・・・。

 「犯罪歴のところの、このコード番号は何?」
 「麻薬です。」
 「使ったの? それとも、運んだの?」
 「運搬ということにされたけど、実際は違うんです。道を歩いていたら、警官が僕の鞄に麻薬を入れて、それを理由に賄賂を要求してきたんです。でも、そのとき所持金がなくて・・・。それで、麻薬運搬の罪を負わされたんです。」

その言い分が本当かどうかはわからないけれど、悪名高き(?)ロシアの警官がそういう手口で賄賂を要求するというのは、あり得ないとも言えない。制限速度内で車を運転しているのに止められて、賄賂を払わなければスピード違反でつかまるというのも、よくあるパターン。

アルバイト探しから、ディープな世界が見えてきます。

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記事を書いた人

さるるん@ロシア

米系銀行勤務後、米国留学中にロシア人の夫と結婚。一児の母。我が子には日露バイリンガルになってほしいというのが夫婦の願い。そのために日本とロシアを数年おきに行き来することに。現在、ロシア在住、金融・ビジネス分野を中心としたフリーランス翻訳者(英語)。

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