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ドラマの話

さるるん@ロシア

通訳・翻訳者リレーブログ

先々週、時間に余裕があったので、録画してあった夏ドラマ「官僚たちの夏」第1話〜第8話までを一気に見ました。言わずと知れた城山三郎原作、昭和30年代の通産省官僚たちを描いたこのドラマ、主人公・風越役の佐藤浩市をはじめとする豪華キャストが気迫に満ちた演技を見せており、見ごたえがありました。おとといの日曜日、ついに最終回となってしまいました。

敗戦後の日本で、「日本人の誇りを取り戻したい」と奮闘する官僚や政治家もさることながら、ものづくりに情熱を注ぎ、少しでもいいものを作ろうと努力を惜しまない人々の姿に胸を打たれ、産業の盛衰に翻弄される人々の姿に涙し、それでも日本人はそこから立ち上がってきたのだと思うとまた泣けてくる、そんなドラマでした。

最終回で通産省事務次官に登りつめた風越が退官にあたって行ったスピーチは、昭和40年頃の通産官僚に向けてのものですが、今の日本人に向けたメッセージのように感じました。

(引用開始)
今、日本は、アメリカにも世界にも恥じることのない経済力を身につけた。しかし、我々の足元には、逆境と戦った日本人の血と骨が埋まっていることを忘れないでほしい。今より遙かに過酷な運命を生きた人々が今を切り拓いたことを忘れないでほしい。我々が舵取りを誤れば、この国を貧困に陥れる危険性があることも忘れないでほしい。最後に、日本はもうアメリカの背中を追うのではなく、自分の道を歩き出すときが来ているということを肝に銘じてほしい。日本人の誇りを決して忘れないでくれ。
(引用おわり)

今もひどい時代になってきていると思うけれど、「今より遙かに過酷な運命を生きた人々が切り拓いた」日本を、これからの世代に少しでもいい形で残せるように、自分のできることをがんばろう、という気になりました。

それにしても、よくTBSはこんな番組を作ったものだと驚嘆してしまいます。残念ながら視聴率は低かったようですが、こういう真剣勝負のドラマをまた作ってほしいです。

2009年秋スタートのドラマで目をひくのは、山崎豊子原作の「不毛地帯」。前半では主人公のシベリア収容所生活、後半では商社の国際競争に奔走する日々を描いた作品です。かつて、この本についてロシア人である夫と話していて、議論が思わぬ方向に進み、我が家が不毛地帯と化した経験がトラウマになっているので、このドラマを見るかどうかはわかりません。でも、シベリア抑留をどのように描くのか、それに対して視聴者はどのように感じるのか興味津々です。

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記事を書いた人

さるるん@ロシア

米系銀行勤務後、米国留学中にロシア人の夫と結婚。一児の母。我が子には日露バイリンガルになってほしいというのが夫婦の願い。そのために日本とロシアを数年おきに行き来することに。現在、ロシア在住、金融・ビジネス分野を中心としたフリーランス翻訳者(英語)。

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