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鳥の巣頭先生と愉快な仲間たち

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通訳・翻訳者リレーブログ

他人の内輪話ほど、聞いていて退屈なものはない。はい、それは重々承知の上、今月は大学時代の思い出話です。どうかお許しを。
◇◇◇◇◇◇
むかしむかしその昔、都内某洒落た街のド真ん中に、某私立大がありました(…って、いまでも立派にあるが)。
そこの英米文学科に、人気者の先生(♂)が棲息していました。音楽好き酒好き話し好き夢想好き人が好き動物が好き、この地球が無性に好き。声もジェスチャーも身体もデッカければ、こころも規格外にデッカい、鳥の巣頭のニューヨーカー。
春夏秋冬、半袖Tシャツ姿でフラフラ歩き廻っているため、未確認物体として捕らえられ、身元確認されたこと、これまで数知れず。とにかく色々な意味で、デッカい先生なのであった。
そんな先生だから(…なのかっ?)、担当する英語コミュニケーション・クラスの人気は、半端でなく凄まじく。よって、同クラスを受講するには、先生ご本人から、入所許可証を貰わなければならず。平たく言えば、英作文を書いて自分アピールさせられるのだ。あっ、面接もあったかな。記憶はすっかり、霧の向こうだが。
だいたいさ、先生の頭の中の合格基準って、どんなものだったのか。これまたそうとう不明だ。
だって、聞くところによると……”あなたが好き、あなたを愛してる、あなたを想うと、夜も眠れない”…などと申告書いっぱい、何枚にも渡り書き連ねたのち、最後のページの最後の行に、”……な〜んちゃって!”…と書いた学生(♀)が、もれなく許可証を貰ったってンだから。
なにがなンだか〜〜(*’▽’)
まあ、そんな細かな裏事情はさて置き。
とにかく。
毎年2日ほどかけて、受講希望者約200人の中から、25人ほど選んでいたそうな。
で、その結果、めでたく入門を許されるのは、妙にバランスの悪い不思議ちゃんが多く。親が親なら、子も子だわなあ…とは、まさにこのクラスのこと。
ってかっ?
たとえば…
寝ても覚めても食事中も入浴中も、ひたすら音楽のことばかり考えている人(←あっ、これわたしだ。当時の…ね。この種族は何人か存在した)、フラフラ旅ばかりしている子、公園の外灯のてっぺんで夢想するのが好きな子(←良い子は真似しないでください)、毎晩飲んだくれてる子(←二十歳以下の子は真似しないでください)、いつも無一文なのに幸せそうな子、貝のように滅多に口を開かない子、動物や植物と対話できるヒーラーっ子、日本でほとんど暮らしたことのない子、世界平和を真剣に考えているグローバルっ子、こころが真珠のように美しい子。などなど、などなど。
同じ顔に同じ格好。で、夏はテニスに冬はスキー。それ以外の時間は合コン三昧。時代が時代、だったとはいえ。そんなチャラ生ぬるい大学に、溶け込め切れず、ウロウロしていたはぐれ者たち。それらを、優しく掬い取ってくれていたクラス。
オアシスのような空間に、教祖さま(ン?)のような先生。まあ、そんな感じだ。バッサリ、分かりやすく説明すると。
で、同病憐れむ…ではないが、オアシスの住人たちは、学年関係なく交流があり、卒業後もキャンパス近くのバーで、頻繁に密会していた。約束などせずに、気が向いた時そこへ行けば、誰かしら居て(先生だけは、もれなく居たが。ウィスキー・ボトル片手に、ヘロヘロYEAH! しながら)。
その洞窟のような場所で、とことん飲み食い議論したのち、明け方に、駅前立ち食い蕎麦屋で、軽く朝食を済ませ、そのまま帰宅せず早朝出勤…なーんてこともしたっけ。
洞窟のあとにみんなで、仲間のひとりの自宅を襲撃し、素敵なお母さまに、お夜食ご馳走になったことも。
で、どんな時もこんな時も、旗振り役はいつも、鳥の巣頭先生よ。言うまでもなく。
しかし素朴な疑問だが、当時そんなに夜な夜なオールナイト、なに話すことあったのだろう。いまとなっては、すべて過去の藪の中だが。
ときに。いまこうしてこれ書きながら、はたと気づいたのだけれど。もしやもしや、鳥の巣頭先生。クラスを通して、未来の呑み友を探していたのか?!
そーならそーでも、まあ赦すけど(^◇^;)
それはともかく。
それもこれも、すべて若さゆえ、できたことですなあ〜。いまは、体力も気力も髪の毛もないですから。もう絶対にムリムリ。ちゃんとウチ帰って寝ないと、翌日使いモノにならないもん。それ以前に。呑んでる最中に、睡魔に襲われるだろうよ。間違いなく。
…って、体力気力健康の話し出すと、とてつもなく脱線したまま、こっちへ戻って来れそうにないので、そっちのことは、また別の機会にでも…。
で、こっちの話って、なんでしたっけ?
あっ、そうそう。鳥の巣頭先生を囲む、夜な夜なオールナイトロング…ね。
そう。そんな心地良い距離感、呑気な関係は、卒業後10年近く続いたか。
その後いつの間にか、あれとかこれとかそれとかで、それぞれ忙しくなり、鳥の巣を囲む小鳥たちの平均年齢も、少しずつ若くなり。ってつまり、宴は次の世代へと、そっとバトンタッチされ…。
で、気づいたら、その仲間の多くとは、年賀状だけの繋がりとなり。数年前には、その集会場のバーも、店じまいしたことを小耳に挟み…。
それぞれが、それぞれの道を歩み出し、時間は着実に流れ続け……
いつの間にか、20年あまり。
その先生が、今年度で引退。1月末に大学で、最後のレクチャーを行なうという。それも、卒業後もずっとお世話になっている、ベテラン同時通訳者率いるクラスの、今期最後のゲスト・スピーカーとして。
なんとも嬉しい、素敵なめぐり合わせ。神さまの粋な計らい。
し…しかし…
それにしても……
先生が…
あの鳥の巣頭が……
い…い……い…ん…た…い?!
ホンマかいなあ?
だって……
あのヤンチャな青年(…だと思っていた♂)が、もう70歳?……だなんて!
その事実を、自分の中でうまく消化できず、追

つけていない、歳月の流れに、軽い目眩を感じた。

ああああ、鳥の巣頭先生〜〜♬♬♬
“どーしてるだろうね”。
たまーに開かれる、同期との会食のたび、噂には上っていたが…。
懐かしいね。
会いたいね。
うん、
ほんと。
会いたいね。
……と、今回も、みんなで。
だから…
と言うわけで…
迷わず、
思いきって…
その最後のレクシャーに、サプライズ乱入することに。同期の友人2人と。同時通訳先生にお許し頂き、行くこと内緒にして貰い…。
最終的には、学年バラバラ門下生約40人集結。クラス後ろの席を、ドヤドヤずらり陣取り。現役学生のみなさん、すっかり縮み上がらせてしまい、すんません。
さてさて。
肝心の鳥の巣頭…の反応だが。
後方に居るあたしらを”発見”した瞬間……
奇声を上げ、手脚バタバタさせながら、白板の前を、グリングリンざっと3周していた。
うししししっ。
びっくり大作戦、大成功 V(^_^)V
で…で……
物凄〜く久々に見る先生は、昔と1ミリも変わらず。デッカい声にデッカい身体、そうして…デッカ〜いハート。鳥の巣頭も、バリバリ健在。見慣れぬ白っぽいモノが、あちゃらこちゃら飛び出てはいたが。けどそれはさ、あたしらだって負けちゃいない、浦島ちゃんも真っ青だから。
ああああ……
思えば遠くへ来たモンだ。
鳥の巣頭も、あたしらも。
遠い遠い昔のような…
ついこの間のような…
とにかくー
そのレクチャーは、30数年分の想い出のカケラのオンパレード。とんこつラーメンも真っ青の、濃厚で味わい深きものだった。
自然との共存、動物の声に耳傾けること、先住民の教えや文化の継承。アツくユーモラスで、それでいてシリアスなその語り口は、当時のまんま。
懐かしいその空気感に、頭の中はグルグル走馬灯。瞬く間にバック・トゥー・ザ・過去。
気がついたら、大学3年当時に戻っていた。ぐりぐりソバージュ+スタッズ&フリンジ装備の、純で可憐なメタルっ子に(*^^*)
他者に対する想像力、思いやり。過去と現在との繋がり。貴い時代を共に過ごした、大切な人たちの存在。
せわしい日常の中、忘れかけている様々。それを改めて、思い起こさせてくれるような、言葉では表現し難い、いや、言葉にしてしまうのがもったいないような、そんな特別なひと時でした。
“今日来て、ほんとーーに良かったね”。
再会舞台の閉幕後、懐かしい街並み歩きながら、3人で顔見合わせ、しみじみ。
柔らかな幸せ風に包まれ、月明かりの中、駅へと向かったのでした。
近々また会おうと、約束しつつ。
◇◇◇◇◇◇
後日、先生からお礼の手紙を頂いた。大地に佇むリスの写真が印刷された、美しい便箋で。それは、人生という旅の途中、また出会えたことに対する、温かな想いに溢れていた。
そう、手書きの手紙! 実は先生、ネットやSNSを一切やらず、メールアドレスも持っていないと言う。
“いまの時代、それで不便ではないのかな”と、余計な心配してしまうのだが。でも今回こうして、懐かしい文字踊る、手書きの手紙を受け取り、思いのほか嬉しくて。便利さと引き換えに、失ったものの大きさを…改めて。
常識というものの、実態のなさ。
この世には色々な人がいて、物事には色々な見方がある。
地球の主役は、人などではなく。
できないことはできない。やれないことはやらない。
去るもの追わず。縁あれば、また必ず会える。
人生、自分の信じる道を歩むしかなく。
どんな時にも、楽しむべし。
先生から教わったことは、数知れず。それもこれも、考えてみると、英語がどうとか文法がどうとか、そういうアカデミックなことなどではなく。
って、あれ? これ大学の英米文学科のクラスでしたよね? まあいいっか。
おまけに。その教えの多くは、授業中にではなく、放課後…の呑み屋で(汗;)。って、まあいいっか。もうとっくに時効だし。だいたい鳥の巣頭先生、もう引退だから。だからなに言われようと、怖いものなしだ。
とにかく…
この先生と出会い、授業参加を許されたこと。そうしてこのクラスを通して、素敵な友を得たこと。それだけでも、あの大学に通った意味があったなあ…と、これを書きながら強く思う。この期に及んで、今更ながら。
けど、ほんと、真面目な話。
大学へ行く理由って、結局はそういう出会いにあるのでは…。
会うたび、こころの浄化。社会に出て積もりに積もった、垢を落としてくれる。初心に帰らせてくれる、最高に気楽な話し相手。
社会に出てからでは、なかなか得難い、とっても貴い存在。
しみじみ。
単純で穏やかで大らかで、しなやかなる頃。色々な意味で、豊かだった時代に、幸運にもめぐり合えた、鳥の巣頭先生&愉快な仲間たち。
たまーにしか会わないのに、たまーにしか会っていない気がしない、かけがえのないみんなに………
こころからの、ありがとう!
なーんて。
なんだか、微妙にクサくなってきたので、今月はこの辺で。
◇◇◇◇◇◇
締めに、ここ数年の間に撮った写真を。”地球って美しいなあ~”の巻ね。自然と動物をこよなく愛する先生へ、数十年分の感謝の想い込めて。
って、ああそうだった。先生はネットをやらないから、これを見ることないんだわな。
ならば、限りなく昭和な方法で送ろっか。あの頃のあたしらが、普通にやっていたように。
焼き増しして、ひとこと添えて、それらを封筒に入れて、表に宛名書いて。で、てくてく郵便局さ持って行って、切手を買って、それを封筒に貼って。で、”無事着きますように”…と両手合わせながら、赤いポストさ投げ込んで…と。
うんうん、そう

しよう、そうしよう〜(^ ^)

東京競馬場パドックの仲良し2人
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2014年ジャパンカップ覇者のエピファネイア
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新宿御苑で踊り披露するチビちゃん
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東京競馬場の日本庭園で声かけてきたコイ
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新宿御苑で釣りに夢中のサギ
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チューリップの連弾@立川昭和記念公園
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奈良・猿沢の池で瞑想中のハト
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同じく猿沢の池で体操中のシカ
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多摩動物園で食事中のペリカンたち
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奈良の東大寺で瞑想中のまつぼっくり
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伊良湖岬の天使の梯子
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立川昭和記念公園でピクニック中の親子
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カナダのロッキー山脈に想い馳せる兄妹
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記事を書いた人

サイトデフォルト

高校までをカナダと南米で過ごす。現在は、言葉を使いながら音楽や芸術家の魅力を世に広める作業に従事。好物:旅、瞑想、東野圭吾、Jデップ、メインクーン、チェリー・パイ+バニラ・アイス。

END