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思えば遠くへ来たもんだ

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通訳・翻訳者リレーブログ

“どうすれば音楽業界で働けるのですか?”とよく聞かれるのですが、その都度、返答に困ってしまいます。と言うのも、実は……。

“揃いのスタジャン着てブランドもの持ってテニスして医大生と合コンしてルンルン!”一色の学生生活が嫌で嫌でたまらず、悶々としていた大学3年の時、“なにか面白いことないかな…”と思いながら、キャンパス内の公衆電話へ直行。そうしていきなり、愛読していた音楽雑誌の編集部へ電話し、いきなり編集長を呼び出し、“あなたの雑誌のファンです。英語できます。仕事ください”とまくし立てたところ、“じゃあ、明日、編集部に遊びに来ない?”と言われたのが、すべての始まり、あぁ人生の転機! あとで聞いたら、読者に会うなんてこと、普段はやらないそうですが(それはそうだ)、その時はたまたま出張校正明けでやることがなく、“さぁどうやって1日をつぶそうか”と思っていたところ、“暇つぶしの相手、とつぜん現われる”…だったわけです。ありゃりゃ。

と、何はともあれ、翌日、編集部を覗いた後、喫茶店へ行った私ですが、なんせ目の前にいるのは、長年愛読していた雑誌の、憧れの名物編集長! よって、冷たいアイスティーに、まるで溶けない角砂糖を立て続けに入れたり…と、それはもう、思いきりトンチンカンしまくりでした。

まぁ、そんなことはさて置き、その場でニュース欄の簡単な英日翻訳の仕事を貰い、で、ずるずる編集部でのアルバイトの日々が始まるわけです。
そうして4年生になり、同級生がリクルート・スーツ姿で就職活動を始めた頃、相変わらず汚いジーパン&Tシャツで編集部に入り浸っていた私に対し……
優しい編集長: “就職、どうするんだ?”
暢気な私: “さぁ、どうするんだか…”
何を思ったか編集長: “実はひとり辞めることになった。代わりに入らないか?”
急展開に泡吹く私: “うげぇ〜〜!”

ビビデバビデブー!!
“暇つぶしの相手”が、“正社員”になった瞬間でR。

ただ、ここだけの話、“派手そうな世界だし、人間関係ドロドロだったら、面倒だなぁ”と少々不安もあったのですが、でも“まぁ、そうしたら辞めればいいや”…という軽いノリで、ひとまず入社。で、結局、ハデハデもドロドロも、拍子抜けするほど何もなく、楽しく充実した数年間を過ごした後、フリーになり、引き続きミュージシャンを陰ながら支える仕事をしつつ、現在に至っています。

……と、直感&勢い&幸運&素敵な出会いだけで、今まで生きてきた私です。

でも、今の私は、とにかく音楽が好きで好きでたまらないのです。音楽を生み出すアーティストも、彼等を支える関係者も、とにかくこの音楽業界が、どうしようもなく好きなのです。“アイスティーに角砂糖入れちゃったゾ事件”から20年以上経つのに、あの時のときめきは、今でもよく覚えていますし、音楽に対する思いも、雑誌愛読者だったあの頃と、なんら変わっていないから不思議です。
ですから、この世界への扉を開けてくれた、英語というツールに感謝しているし、そのツールを持つきっかけを与えてくれた、カナダという私の第二の故郷に対し、深い深い愛情を感じています。

それにしても、こうして振り返ってみて、つくづく思うのは、人生、色々なことが色々なところで繋がっていて、そうして今の自分が存在しているということ。この世に偶然なんてないのだと思います。人との出会いも、まさにそう。
人生という旅は、まだまだ続きます。

というわけで、これから毎週水曜日、よろしくお願いします!

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高校までをカナダと南米で過ごす。現在は、言葉を使いながら音楽や芸術家の魅力を世に広める作業に従事。好物:旅、瞑想、東野圭吾、Jデップ、メインクーン、チェリー・パイ+バニラ・アイス。

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