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全力で遊びます!

まめの木

通訳・翻訳者リレーブログ

フリーランスの唯一の悩みは、休暇を予定できないことである。通訳ではある程度、繁忙期が決まっているとはいえ、業種や通訳形態によって違いがあるし、翻訳に関しては年中繁忙期といっても過言でないような気がする。以前、通訳の師匠が『この人でないと務まらないといえるような専門分野と通訳技術を持っていれば、たとえブロードバンドの届かないような山奥に住んでいたとしても、エージェントは必ず見つけ出してくれます。』と極端なお言葉を述べられていたが、もちろんそんなステータスにない私にとっては、まとまった休みを計画するのは命がけである。何に対して命がけなんだか、よくわからないが、とにかく“何もしないで遊ぶ”という行為に対してある種の罪悪感と危機感があるのだ。普段、友達と食事に行く約束をしても果たせないことも多く、自然、直前キャンセル(いわゆるドタキャン)という失礼な行為に対して理解力のある同業者とのお付き合いに限定されてしまっている観がある。
しかし、通翻訳者といえども人間、やはり息抜きしないと生きては行けない。そんな中で身についてきたのが、“全力で遊ぶ”能力である。平たく言えば、遊ぶと決めたら全身全霊、遊ぶことに集中する、ということだが、これがなかなか難しい。今日は翻訳の注文もないし次の通訳の仕事の勉強を始めるにはまだ余裕がある、という日でさえ、直前の仕事の出来や次の仕事が気になったりして、ともすれば一緒に遊んでくれている相手の言葉に上の空となり、不愉快な思いをさせることもある。また、フリーランスの通翻訳者としては、遊びに行くとしても携帯の電波の届かない場所はなるべく避けてしまう。なぜなら、仕事の電話がいつ入るかわからないからである。レストランに入っても携帯をテーブルの上に置く。これでは、息抜きなのか臨戦態勢なのか、まったく区別がつかないし、相手だって時間を取って付き合ってくれているのに失礼なことこの上ない。
そこで、『遊ぶときは全力で遊ぶべし』と心に決めたのである。過ぎ去ったことはきれいさっぱり忘れ、明日は明日の風が吹くさ〜と腹をくくり、今、目の前に繰り広げられている楽しい現状に集中するのだ。と、最近ではだいぶ心に余裕が持てるようになったのだが、それでも外出している最中に、
『急ぎの翻訳をお願いしたいのですが、スケジュールはいかがでしょうか?』
という電話がかかってくると、声も頭も心も、すぐさま仕事モードに切り換わってしまうのは悲しい性である…
これからフリーランスを目指す皆さん、勉強する時だけでなく、遊びの集中力も今のうちから身につけておくとよいですよ!

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記事を書いた人

まめの木

ドイツ留学後、紆余曲折を経て通翻訳者に。仕事はエンターテインメント・芸術分野から自動車・機械系までと幅広い。色々なものになりたかった、という幼少期の夢を通訳者という仕事を通じてひそかに果たしている。取柄は元気と笑顔。

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