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2011年終わりにあたって

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 この間、夕食の時に娘がふと、何かの話題の折に「私、日本人に生まれて本当に良かった」と、まじめな顔をして言いました。3歳でニュージーランドに移住して10年。通っているカトリックの女子校では、日本人どころかアジア人が非常にマイナーで、クラスにアジア人はただ1人。どっぷりとキュウイ文化につかって成長してきた娘ですが、母国、日本のことを誇りとしてくれていることに、親としてうれしく思います。

 ずっと日本にいたら、改めて自分が日本人であることに思いをはせることはあまりなかったはずですが、こちらでは、病院の受付でも、学校の入学申込でも、選挙の書類でも(こちらでは永住権があれば選挙権が与えられます)、自分の国籍を明記する機会がひんぱんにあります。

 今年は、「どこから来たの」「日本」という良くある日常会話の後に、「え、放射能は大丈夫?」と必ず聞かれるようになって、こんな南の端っこにも、「日本=放射能」というイメージが浸透してしまった、と痛感させられることがしばしば。娘は、学校の社会の授業の「地球災害」というテーマで、日本の地震の映像を見ていて、つらくて涙が出てしまったことがあったそうです。

 本当に今年は、つらいこと、そして、信じられないことが日本でたくさん起こりました。特に政府の対応には、不信感でいっぱいです。

 それでも、私は心から、日本という国が素晴らしい国であり、自分が日本人であるということに誇りを持ち、誇りを持てる国であることに感謝しています。そしてどうか、この素晴らしい国が毅然として困難に立ち向かい、次の世代が誇らしく思う未来を築いていってほしいと願ってやみません。そのために、我が家ができることとして、非常に微々たるものですが、地震への寄付を続けています。

 このブログを読んでいただくころには、私は2年ぶりに日本に帰省しています。暖かく迎えてくれる母国があることに、しみじみとありがたみを感じています。

 それでは皆さん、どうか良いお年をお迎えください。

 

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

END