BLOG&NEWS

外国に暮らすということ

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 ニュージーランドに10年近く住んでいるとはいえ、夫が日本人で、仕事は自宅で一人でやっているため、ニュージーランドの文化にどっぷりつかっている、とはいえない、と我ながら思う。でも、知らず、知らずのうちに、影響を受けていることにふと気づくことがある。
 例えば電話での受け答え。英語では、相手がしゃべっている時には、聞き手の方は黙って聞いているものである。へたに「ええ」などと相づちを打つと、話し手のテンポが狂うらしい。で、日本にいる人からの日本語の電話で、相手の話が終わるまで無意識に沈黙を続けてしまい、「もしもし、聞こえてますか!?」と、話の途中で心配されてしまうことがある。
 そもそも、こちらでの電話のやりとりは、かけ始めの段取りからして違う。受け手が日本のように、「はい、××です」と名乗って電話に出ることは、一般家庭の場合、まずない。たいてい「Hello」でおしまい。防犯上の意味もあると思う。掛け手も「こちらは小西と申しますが、花子さんはいらっしゃいますか?」などど言わず、いきなり「Can I speak to Hanako?」となる。
 そして受け手は「どちら様ですか?」などとはくいさがらず、とっとと「私が花子ですが(It’s me.)」とか、「少々お待ちください(Just a moment.)」などと対応する。
 この時点で掛け手に対して、「どちら様ですか?」のつもりで「Who are you?」なんて聞いてしまったら、「高飛車な人だ」という印象を与えるかもしれない。
 電話を切る時も、相手が切るのを待って、などという奥ゆかしい習慣はない。なので、要件が終わって終わりのあいさつをしたら、即、ガチャンと切る。日本からの電話なのに、電話を切った後に、「しまったー、またガチャンと切ってしまったー」と、切った瞬間に気づくことがある今日このごろ。
 以前は海外に旅行した時、海外に住んでいる日本人(ガイドさんなど)はなぜあんなに日本人らしくなくなるのだろう、やっぱり外国にかぶれちゃうのかな、と思ったものだった。服装、化粧、しゃべり方、対応など、どこか日本人らしくない。わざとやっているのかと当時は思っていたけれど、今では私も、ちょっとずつ、いつのまにか、こちらの習慣や癖がうつってきていると思う。
 でも、マネしたくてもできないのが、不愉快な気持ちを示す時に、眉毛を片方だけ上げる、という仕草。女優みたいでかっこいい、とあこがれるのだけれど、できません! 練習しても(するか!?)、目が見開くだけで、眉毛はぴくとも上がりませんでした…。
 

Written by

記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

END