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Amadeus

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 週末に夫が「マイケル・ジャクソンのライブが見たい」ということで、レンタルショップに行ったついでに、ふと思い立って、「Amadeus(アマデウス)」を探したら、ちゃんとありました。アマデウス、とはご存じ、モーツァルトのこと。彼の才能を妬んだ同時代の音楽家、サリエリがいかに天才モーツァルトのすばらしさを理解し、それゆえにその才能を与えた神をにくみ、いかにしてモーツァルトを死に追いやったか、という告白を神父に行う、という設定になっています(サリエリによる殺人説はあくまでもフィクションです)。
 1984年公開、とのことですので、かれこれ25年前の映画。公開当時、アカデミー賞の作品賞、主演男優賞など8部門を受賞して、非常に話題になりました。だれといつ見に行ったのか、まったく覚えがないのですが、あ、ここで皇帝があくびをするな、とか、ここでおいしそうなお菓子が出てくるな、とか、各シーンははっきりと覚えていて我ながらびっくり。
 出演する俳優たちは、みんな素晴らしい演技を見せてくれます。特にモーツァルトを演じた俳優は、ピアノや指揮を猛特訓したそうで、本当にモーツァルトはこんなふうにやっていたのかな、と思われるほど。ひっくり返されて、逆さまでピアノを弾く、という曲芸まで披露します。一緒に見ていた娘いわく、「モーツァルトの指揮は、ドラマののだめの最初のころの千秋よりずっと上手」(サリエリの指揮は、非常にぎこちなかったのは、演技が素晴らしいだけに惜しまれますが・・・)。
 ただ、Googleで検索したところ、この映画以外はどの俳優さんもぱっとしない感じです。でも一生に一本、こうやって後々まで残る映画に出演できれば、俳優冥利に尽きるということかな、と思ってしまいます。
 例外としてただ一人、今でも活躍している人を今回、発見してびっくり。それは、「Sex and the City」のミランダ役、シンシア・ニクソンです。まだ初々しい彼女がメイド役で迫真の演技を見せています。
 最後にサリエリは、あまりの真実にショックを受ける神父にこう語りかけます。I will speak for you, Father. I will speak all the mediocrities in the world. I am their champion. I am their patron saint.
 mediocrityは、「凡人」ということ。聞き取れなくて(というか、この単語を恥ずかしながら知らなくて)、サブタイトルで確認してしまいました。DVDよ、ありがとう。
 最近、話題になった「Benjamin Button」にしろ、「おくりびと」にしろ、どうもなにか物足りなかったのですが、これは今の私にとても心に響く映画でした。この映画が完璧で必見、というわけではなくて、私の琴線に触れた、相性のいい映画ということなのだと思います。オペラの豪華な舞台、華麗な衣装、そしてあちこちにちりばめられたモーツァルトの美しい音楽。久しぶりに映画を満喫した、という感じでした。初めて見たときにはまだ10代だったので、サリエリの絶望感をどれだけ理解できたか疑問。今まで覚えていた、というのは当時の私なりに心に残った、ということでしょうが。40代になって、人生の折り返し地点を過ぎてしまった今になって、さらにしみじみとその哀しみに共感できるのだと思います。
 

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みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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