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プレゼン体験

トナカイ

通訳・翻訳者リレーブログ

先週の土曜日(25日)、加入団体が開催したプレゼンテーションの講座に参加してきました。
仕事では自分自身がプレゼンをする機会はほとんどありませんが、大勢の方の前で通訳をする機会はあり、ある種のプレゼン能力が必要な仕事をしているとはいえます。また生徒としては、学校の課題としてプレゼンをすることは過去に何回かありました。

講座は朝から夕方までのセミナー・ワークショップ形式で、講師はスピーチ・コミュニケーションの専門家。あらかじめ自分のプレゼンテーションを用意しておくことが宿題でした。
当日のプログラムは自己紹介から始まり、この講座に参加しようと思った理由、プレゼンテーションと自分、など自分の経験を話す時間、講義とちょっとした演習、発声などのエクササイズ、その場の即興で考えたテーマで1分間のプレゼンと講評・・・で午前中は終わりました。昼食をはさんで午後は各自宿題だったプレゼンテーションを実際に行ってそれをビデオで録画、その後再生しながら講評してもらう・・・というスケジュールでした。

この午後の部分がかなりしんどいところなのですが、ビデオを再生してみると、わかってはいたけどやっぱり話すのが下手で何ともいえない気分に。プレゼンテーションには3分という制限時間があり、他の参加者の皆さんはうまくまとめているのに、自分だけ大幅に超過してしまい、何とも冗長なプレゼンに・・・。

話だけでは自分自身がもたないだろうと思い、朝の1時間以内でPowerPointの資料をざっくり4ページほど作って持って行ったのですが、資料を作っただけで何だか満足してしまい、4ページあれば1ページ45秒で説明をしなければならない・・・そういう時間配分がまったくできていませでした。また、このテーマで誰をターゲットに、何を落としどころにして話すのか、それも最後まで決めかねていました。
ちなみに、これはすべてフィンランド語でしていることなので、そのハンデはあるのですが、かといって日本語なら果たしてうまく時間内に話せていたか?それも疑問です。

といっても、講評では厳しいことはまったく言われず、テーマはとても面白い内容だった、むしろもっと自信を持つようにと言われました。時間配分については、予め少し考えておくといいのでは、とのこと。この点については、外国人だということで皆さん割り引いて聞いてくれたのでしょうか。こちらが恥ずかしくなるくらいです。

この講座で講師の方が強調していたのは、伝えるということにおいては「人まねではない、自然な自分から出た方法がベスト」だということでした。これは人を自由にすることのようにも聞こえますが、これは逆にいうと、自分が問われるということでもあるのでは?
そしてもう一つ印象に残っているのは「プレゼンテーションのスタイルも、自分の幼児体験やトラウマと結びついている」ということでした。それを聞いて、ある参加者の方はしみじみと「この年齢になっても、そんなところでいまだにあがいているんですよね・・・」
自分自身にも、思うところがないわけではありませんが・・・まあ、それはここでは別にいいと思います(笑)

通訳にしても翻訳にしても、ある言語を別の言語に換えて表現するという、いわゆる言語のフィルターのような仕事であり(文字通りトランスレーターなわけですが)、扱っているのは基本的に誰か他の人の言葉です。そういう意味で、プレゼンテーションはまた次元の違う作業でしたが、こういう練習もしておくと、自分の仕事のあり方もまた違った角度から見えてくる・・・という気がしました。

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記事を書いた人

トナカイ

フィンランド・ヘルシンキ在住の多言語通訳・翻訳者。日本で金融機関に勤務の後、ヨーロッパへ。留学中に大学講師を務め、フィンランド移住後は芸術団体インターンなどを経て現在にいたる。2児の母。

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