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エージェントに属するということ

フレッヒ

通訳・翻訳者リレーブログ

  通訳者がエージェントに属すると言う事には
いろいろな利点や意味が含めれていると思うのですが
それを本当に心から実感したお仕事が先日ありました。

 先輩通訳者からの紹介で、ピンチヒッターで
行った会議通訳。お仕事が始まる前に、ご紹介の
あった日本側のオフィスに、打ち合わせにも
数日前に伺い、ギャランティーの件も含めて、通訳内容も
きちんと確認してきました。

 まず、夕食を含む通訳と言う事で
21時くらいまでを想定して、それ以降になるようでしたら
ホテルを取って頂きたい事をリクエストしたのですが
21時以降になる事はまずないと言う先方のご意見だったので
ホテルは却下。

 毎日、必ず30分以上は遅れて会議室に入ってくる
日本側のお客様・・・。私は必ず30分前には現場に入っている
のが習慣なので、毎日1時間以上お待ちしました。
そして、毎日終電に駆け込みの23時過ぎの電車。

 最終日は、何と食事にこれから移動と言うのが
22時。私はこれから食事では帰れなくなると言うと
でも食事に来て貰わないと困るし・・・でもホテルは
これから取れるのか、これからの予約だと
高くなってしまうんではないか、どうしようか、と
なかなか決断してくれず。

 結局、私が携帯サイトから急遽自分でホテルを手配し
お食事へ。更に食事の場での凍りつく会話。

 「今回、ドイツ側が通訳を手配してくれと言ってきたので
こちらは通訳料を払うつもりではないんだけど、ドイツ側・日本側
どちらが払うのか、あなたから、あくまでも私が言ったと言わないで
何となく、どちらが私の通訳料を支払うんでしょうかね〜?と
聞いてくれない?」

 さすがのドイツ側も凍りつく私の表情に
何かおかしいな?と察知し、

 「何か変だなって気付いちゃっているから、
ちょっとあなから違う話題に話を
適当に変えて、雰囲気が和やかな感じになってきたら通訳料の件を
さりげなく聞いてみて」

 いや〜、参りました。
ギャランティーの説明もしているし、紹介されて
日本側に出向いたのだから、私は日本側に請求するし
私がそう言う風には聞けません、それはメールが来た時点で
事前に取り決めしておくべきだと思います。と日本側に言いました。

 ドイツ側には、しばらく経ってから
通訳料の件を聞きましたが、雰囲気を察したのか
折半にしようと。

 その晩は結局、拘束時間15時間を超え、
一日いくらとなっているけど、延長料金は別途頂きますと
日本側とドイツ側が居る時にきちんとその場で
お伝えしたのに、請求書を日本側に出した後に
「延長料金が入ると、かなり高いじゃないんですか?」
と言われ・・・。

 こう言った細かい労働条件・交渉をきちんとサポート
してくれ、ましてや一番大事な金銭面での交渉も
通訳者本人がやる必要がないと言うのは本当に
仕事だけに集中出来ます。

 特に駆け出しの時期には
様々なお仕事をエージェントを通して
こなす事によって、自分一人では決して得る事の出来ない
経験が出来ますし、エージェントの力添えがあって
初めて知りえる分野でのお仕事は、通訳者として
大きな収穫です。

 安心して通訳者として活動できる
環境、それは安心して自分の身をゆだねる事が
出来るエージェント選びにも掛かっていると思います。

 エージェントを通さないで
自分で営業して自分で全て清算まですると言う
仕事も、私自身もいくつか抱えていますが、
本当に一長一短。特に金銭面ではギャランティーが上がる事は
なくても、下げる交渉をされる事はしばしば。
これは、身一つで活動している通訳者としては
やはり多少なりとも、自分自身に値が付いて叩かれているようで
傷つきます。

 今回ほど、エージェントさんの有り難味を痛感した
お仕事はありませんでした。

 

 

 今年を何とか乗り切り、年末は10月にも
行った石垣・西表でゆっくり2週間過ごす事にしました。
この写真は西表のカヌーツアーにて。

Written by

記事を書いた人

フレッヒ

高校時代をドイツで過ごし、日本の大学を卒業後、再び渡独。ドイツでの日本企業勤務を経て10年前よりフリーランスドイツ語通訳者として活躍。車関係全般・ジュエリー・スポーツ関係・整形外科分野を得意とする。普段はワイン・焼酎をこよなく愛し、庭で取れたハーブやジャガイモで主人や友人達とBBQしながら休日を過ごすのが大好き。そして大の八重山諸島フリーク。

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