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翻訳者の夢

仙人

通訳・翻訳者リレーブログ

近くのスーパーマーケットにドラゴンボールのカードが出てくる機械があります。ガチャガチャの進化形みたいなものですね。いつも幼稚園か小学校低学年ぐらいの子供が前に立って遊んでいるか、欲しそうに眺めているかしています。すごくないですか? 何がって、『ドラゴンボール』は漫画連載が終了してもう11年、今興味を示している良い子たちは、連載終了時には、存在のかけらすらなかったんですから。連載が終わって少年ジャンプの販売部数が200万部落ちたと言われ、その数百万人のひとりだった私は、それ以降、定期的に読む漫画雑誌がなくなってしまいました。なぜか、スピリッツや他のよく読んでいた雑誌まで読まなくなって、本物のババアになった瞬間だった気がします。
鳥山明さんの漫画は、あまりにすべてが完璧すぎて、本来あまり好きではないのです。絵もストーリーも、絶対に破綻しない。いろいろ破綻して訳がわからない少年漫画、特に永井豪さんのエッチ系ギャグマンガが実は大好きなのですが、『ドラゴンボール』は中国の西遊記、日本の八犬伝、さまざまな冒険小説の要素が入って、戦った相手が基本的にはその後強力な味方として連帯し、「努力」+「友情」で「成長」するという少年ジャンプのコンセプトそのもののストーリーに、そしてなんといっても、「Z」になって以降の決めセリフのかっこよさで、何度読んでも、「悟空さ、かっこいい」と思ってしまいます。
翻訳者としては、テレビ版のDVDを見ながら、自分なりの訳を考えるのも楽しいです。本来、ご自分でもギャグ漫画家とおっしゃる鳥山さんなので、ダジャレや、名前などにも語呂合わせが多く、そういうもののニュアンスをできる限り生かそうとするとすごい作業になるでしょうが、夢として、いつか翻訳したいなあと思ってます。そういう夢って、持っていると違う形ででも実現するみたいな気がして。

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記事を書いた人

仙人

大学在学中に通訳者としての活動を開始。卒業後は、外資系消費財メーカーのマーケティング分野でキャリアアップ。その後、外資系企業のトップまでキャリアを極めた後、現在は、フリーランス翻訳者として活躍中。趣味は、「筋肉を大きくすることと読書」

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