BLOG&NEWS

パラシュートをしょった私と飛行機の間を結ぶのは細い希望のみ

背番号8

通訳・翻訳者リレーブログ

英語の通訳をしているとは言え、当然非英語圏からのビジターの通訳をさせて頂く機会も多々あります。とは言えヨーロッパの言語のアクセントなら馴染みもあるし何とかなるという自負があったのですが(その代わりアメリカ英語、特にカリフォルニアのアクセントはお手上げなので守備範囲は広いようで狭い)今週はその考えが根底から覆されるハメに…。今まで調子に乗ってました!すいません!反省室でしばらく正座してます!という心境です。

連日某所にて新規導入されるソフトウエアの社内研修の通訳をしているのですが、今回の講師がサンパウロ出身のブラジル人。ほうめずらしいと思ったもののブラジルのポルトガル語のアクセントなら大丈夫だろうとタカをくくって行ったら大間違い。代表的なところだと「R」はフランス語の様に鼻に抜く「ハ行」に近い音、「L」は「ウ」、「ディ」は「ジ」、「ティ」は「チ」等がありますが、これらを頭に入れてても研修中「???」と一歩も踏み出せなくなる状態もしばし。「このジテーウが…」???ああ、”ディテール”!「ムゥーチセクソォンの..」???”マルチセクション”!そのくらい事前に資料を読んでいたら見当がつくだろうと叱られそうですが、ええと、資料がほとんど無いのです。とりあえず講師の方はこの厳寒の日本に来てから(雪を見たことがないパウリスタのため”これ以上寒くなったら着る物がないよ!”と悲痛な訴え)研修資料を作り出した様なので、翌日カバーする内容を前日せっせとまとめて当日の朝に印刷・配布するという自転車操業スタイル。通訳の方なら初見で研修の通訳をしなくてはいけない状況、しかもテクニカルターム満載という内容のおっかなさを想像して頂けるかと。しかしやるしかないのです。

少しでも彼のアクセントに慣れようとランチ時にこまごま世間話をしていた際、「趣味はパラシュート」と言うので「怖くないですか?」と聞くと「最初からいきなりフリージャンプはやらせてもらえなくて、パラシュートをしょった自分と飛行機とは細い希望でつながれているんだよ。機外に出てピンと張ったらそこでやっと希望が外されるんだ」。いや充分怖いよと思ってしばし熟考….はい皆さんお気付きですね、私は「ロープ(rope)」を「ホープ(hope)」と聞き違えていたのです。

その他にもさまざまな興味深いブラジル現地事情を話してくれたのですが、上記の件もあることだしもしかすると根本的に私が勘違いをしている情報もあるかもしれません。「やっぱり隣国とはお互いライバル意識を持っているのですか?」「我々はアルゼンチン人を”スノッブ”と呼んでいる」「向こうはブラジル人を何て呼んでいるのですか?」「”リトルモンキー”」。ちなみにこれは立派な人種差別用語になるそうで、ブラジル対アルゼンチンのサッカーの試合(ブラジルのホームゲーム)の応援に来たアルゼンチン人サポーターがスタジアムでこう叫んでその場で逮捕、国外退去の目にあったとか。その話の後も「マラドーナのあの堕落っぷりと言ったら!それに比べてペレのなんとクリーンなことか!」延々と憤慨していました。あとは日本でカツサンドのソースが甘いのではがして食べたとかバナナがばら売りされていてびっくりしたとか(”ダース以下で買うなんてありえない!”)秋葉原にメイドが沢山いたけどあれは何?とか日本滞在を満喫しているようです。

そしてまだまだ続く研修…。

Written by

記事を書いた人

背番号8

イギリスに長期留学後、インハウス通訳者として数社に勤務。現在は、フリーランス通翻訳者として活躍中。若手通訳有望株の一人!

END