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NZ生活でのささやかな喜び

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 ニュージーランドでは、日本で考えられないことが小さいことから大きいことまで、あれこれと起こります。今日は、ごくごく小さな出来事をご紹介。
 ニュージーランドのスーパーでは、たいてい月曜日からの1週間ごとに特価品が変わります。日本のように日替わりではありません。これは、1週間に1回、まとめて買い物をする人が多いためと思われます。
 その特価品のちらしは、週末に直接、ポストに入っています。週末になると新聞にどさっと入っている、たくさんの折込広告というものは存在しません。日本のように新聞を定期購読する人は少ないためだと思われます。
 そしてポストに入っていた今週のスーパーのちらしに、ブリタのポット型浄水器がフィルター2個とセットで39.99ドル、という特価が載っていました。ずっと欲しいと思いつつ、なんだか買いそびれていたので、「今日こそ買いましょ」と、火曜日にさっそく行ってきました。
 でも、浄水器が店内のどこにあるのか、見つけられませんでした。それで、カウンターのマネージャー(このスーパーで買い物をする人ならみんな知っている、ベテラン女性。このスーパーのテレビコマーシャルにも出ています)に聞くことにしました。
 もちろん、置いてあるちらしをちゃんと取ってきて、「この商品はどこですか?」と聞きました。商品名だけで分かってもらえるとは、初めから期待していないからです。すると、およそ50秒ほどその商品の写真を凝視した後、その女性はマイクで店員さんを呼び出しました。
 しばらくしてやってきたのは、若いアジア系の男の子。「この商品、知ってる?」と女性が尋ねると、「あ、知ってます。こちらです」と案内をしてくれました。
 「ここですよ」とすぐに教えてくれたのですが、ちらしに掲載されている特価品の値札が付いていません。何種類かあるポットのどれが対象品なのか分からないので、「この商品はどれ?」と聞くと、一生懸命バーコードをスキャンして、「たぶんこれ」と決めてくれました。
 「レジではちゃんと特価品のデータが入っているよね?」と聞くと、「いや、確かじゃないから、ぼくがレジに行きますよ」と言ってくれました。おお、素晴らしいサービス。
 そしてレジの女性にポットとフィルターをスキャンしてもらうと、値段がちがーう。担当者(この人も浄水器のセットがどれなのかはまったく分かっていなかった)を呼んで、データをキャンセルをしてもらいました。
 それから彼は一生懸命チラシを見直して、「あ、容量が2.4リットルでなくて、2.9リットルと表示してある。ぼく、取ってきます!」と走って行ってくれました。おお、素晴らしいサービス。
 そして再度、スキャンしたのですが、やっぱり値段が違う。彼、レジの女性、私で、「おかしいねー」と言っていたのですが、ふと思いついて、「セットのフィルターもスキャンしなくちゃいけないんじゃない?」と私が提案。そうだ、そうだ、とフィルターをスキャンしてみると、ぱっと値段にマイナスが付いて、特価価格となりました。その瞬間、3人で拍手。
 まあ、日本では、今週の目玉商品としてチラシに掲載されている商品に特価を表示する値札が付いていない、ということがそもそもあまり考えられないと思われますが、とりあえず、無事にお目当ての商品が獲得できてうれしかったです。
 NZでは、こうやってスムーズに対応してもらえることが非常にまれなのです。以前、購入したビールの瓶が割れていたのを帰宅後に見つけて、すぐに交換しに行ったら、「あなたが割ったんじゃないの?」ときつい口調で言われて、むっかーとしたこともありました。日本だったら、まず「申し訳ありません」だと思うのですが。もちろん、はっきり言い返して、交換してもらいましたが、それだって、「じゃあ、新しいのを取ってきて」と言われて、自分で交換商品を取りに行ったのです。
 もちろん、ここは日本ではないので、「日本だったらこうなのに」というぐちを言うつもりはありません。きりがないです。
 でも今日は、親切な男の子とやさしいレジの女性のお陰で、無事に浄水器が買えてよかったです。ささやかな達成感が得られました。サービス大国日本におられる方には、ささやかすぎて、なんのことやら、という感じかもしれませんが。

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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