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万里の長城からロープでぶら下げられる通訳

背番号8

通訳・翻訳者リレーブログ

以前現場通訳のお話をしましたが、社内通訳なら安心かと思ったらそれは甘い。社内といいながらも社外(と言うか屋外)のイベントに参加させられ..いえ、させて頂く機会もあるわけです。

以前働いていた某電気通信事業の会社では毎年マネジメントの方々で「オフサイト研修」を実施しており、開催場所が”日常から隔離する必要がある”という理由で海外だったりするのですが、第一回目は中国の北京から車で4時間くらい移動した山の中の研修センター。案内の中には「最寄り:万里の長城」との記載が。あんな全長6000キロ以上のモニュメントを最寄りって言われても。もちろんコンビニなし、パブもなし、自動販売機なし。脱走したくとも公共交通機関無し。隔離大成功。ここで会社の将来のビジョンなどを徹底的に話し合うわけですが、合間にアクティビティが入ります。万里の長城にロープ結んで(世界遺産でしたよね?確か)ハーネス&ヘルメット着用で上から降りるアブセイリングとか、世界遺産の上で寝袋で寝るとか(厳寒の2月)、これらの目的は「チームビルディング」なのですが確かにある意味団結力強まるのは事実。通訳も数人同行したのですが、何故かアクティビティの頭数に入っており気が付くと万里の長城の壁にぶら下がってたりするわけです。マネジメントの方々からは後から「忍者みたいだったよ!」とのコメントが。しかも帰ってきてから写真(目が泳いでいる)を見ると命綱を持って下さっていたのが会長だったりして冷や汗ものなのですが。

翌年第2回目はサイパンということで、こぼした飲み物が朝起きると凍っているような天候下での野宿は避けられる!という妙な安堵感が参加者の間に漂っていたのですが、空港に着くなりバスで人気のない海岸へ連れて行かれて部署ごとのチームに分かれ、ああ今年は一体何が..とどきどきしていると「では筏を作ってあのブイのところまで行って下さ〜い」。振り向くとそこにはどこで調達してきたのかドラム缶やら荒縄やら流木やら椰子の葉やらの数々が。すぐに作成できたものの潮に流されてブイから遠ざかって行くチームあり、人数の多い部署はなんだか避難ボートの用になっていたりと悲喜こもごも。もちろん私も軍手着用で参加させて頂きました(2年目なのでもう慣れている)。お約束の野宿も海岸で実施されたそうですが、私は担当の予定の都合で現地入りが遅れたためセーフ(?)。翌日早朝にスキューバダイビングもあったそうですが、水中撮影ビデオを見るとみんな何故か斜めになったままちりぢりに流されている。聞くと現地の人も渋るような流れの速い日だったとか。

こういう状況下でも帰国までにはしっかり今後のアクションプランを作り上げるマネジメントの方々はさすがです。チームビルディングの他にも突発的なことへの対応、リスクマネジメント、リーダーシップの発揮等の要素もオフサイト研修に含まれていた様ですが、確かにいきなり与えられた課題に対して即座に判断・アクションを起こすというのは企業マネジメントに通じるところもあるのでしょう。通訳としても参加させて頂いたことである意味何があっても動揺しない度胸はついたような。(あ、もちろんいざという時の医療バックアップ体制は万全でした)。

ということでこれから社内通訳を目指していらっしゃる皆さんには念のため体力増強をお勧めしておきます...。

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背番号8

イギリスに長期留学後、インハウス通訳者として数社に勤務。現在は、フリーランス通翻訳者として活躍中。若手通訳有望株の一人!

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