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アニメーター

通訳・翻訳者リレーブログ

ピクサー社でアニメーターの仕事をしている方にお逢いする機会がありました。ファインディング・ニモではドリー、Mr.インクレディブルではヘレン、ヴァイオレット、ダッシュの3人などを担当した方です。まず、台本を元に絵コンテが作成され、その場面のイメージからキャラクターが描かれます。その後にモデルが作成されるのですが、アニメーターはそのモデルに動きをつけることが仕事です。今やコンピューター技術により、絵は何枚でも書けるようになりましたが、キャラクターに“演じさせる”部分はコンピューターにはできないので、アニメーターの方々の手によって動きが作られていきます。ストーリーの中でそれぞれのキャラクターがどういう性格なのかを充分理解し、他のキャラクターとの区別をつけながら、それを動き一つ一つに表現してきます。実際のもの(動物、人間、魚)らしく動かし、その上さらに演じさせる部分がこのアニメーターの方の手に委ねられているのです。ただ動かすのではなく、演じることが要求されるため、演劇の授業を受けたり、又そのキャラクターの声優の方のしぐさを見て、それを取り入れたりもするそうです。以前映画のCGの製作をしているデザイナーに逢った折に、タイタニックの船が沈没する直前の場面では、実際に人間はデカプリオとケイト・ウィンスレットのみしかいなかったことを聞きました。それ以外の人間(船からすべり落ちる大勢の人々)は全てCGで作成されていて、その大勢の乗客をCGで作り上げるのに何ヶ月もかかったという話を聞き、その場面を再度凝視してしまったことがあります。今回もアニメーターの存在を知ったからには、新たな視線でもう一度作品を見てみようと思っています。見る側からするとほんの一瞬で過ぎてしまう場面も制作段階では想像を絶する手間と時間が費やされているのです。私は、舞台、ショー、コンサート等、出来上がった作品もさることながら、作り上げる過程を見ているの大好きなので、この話は大変興味深いものでした。

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記事を書いた人

大学在学中に通訳デビュー。外資系企業勤務を経て、フリーランス通訳者に。会議はもちろん、音楽、舞台、映画などの分野でもひっぱりだこ。クライアントからの指名率も高い。

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