BLOG&NEWS

ジャングルふたたび 〜旅のご報告〜

ガットパルド(gattopardo)

通訳・翻訳者リレーブログ

みなさま。
こっそり日本を離れ、北フランス・ノルマンディーの1週間としゃれこんでまいりました。おまけに最後の1日は、トランジットのロンドンでブリティッシュ航空の機体整備不良のため1泊足止めを食い、かといって「じゃあ、コヴェントガーデンの劇場まで行っちゃおう!」などという余裕のある状況でもなかったので、憂さ晴しにヒースローで免税ショッピングに狂って締めた旅となりました。
と、いうわけでご想像通り、またもや私の部屋のど真ん中には、スーツケースが口を開いたまま座り込んでいます。これをまた「立たせる」のが目下の難題。中にはあふれんばかりに積まれた現地での購入品が。
さて、フランスのパリという首都をご存知のかたは多くいらっしゃると思いますが、今回私が諸用あって訪ねたこの「ノルマンディー地方」は、その北部、大西洋岸に広がる2州をまとめた呼び名です。海岸の遊興施設、各市町村の提供する情報の多さ、交通の便など、総合的にレベルの高い観光地群ですが、どうもニースやカンヌなどがある地中海岸にくらべ「北の、イギリスに近い」というイメージから、ノーテンキにホイホイ誰でも遊びに来る土地、というよりは、それなりにこだわりのある人たちが好む地域、という印象。
簡単にたどった道筋のみ公開します。それだけで字数が尽きてしまいそうですが、ま、とりあえず・・・
第1日目、パリから列車で1時間半ほどの町、ルーアンへ。ジャンヌ・ダルクの処刑地として有名なところです。絶対行きたいと思っていたミシュランの星つきレストラン「ジル」が8月のため休業中だったのがすごく残念〜〜〜。
第2日目、アルセーヌ・ルパンの地、エトルタへ。海岸線に「像が海に鼻を突っ込んで水を飲んでいる」(ギ・ド・モーパッサンの言葉)ような、奇異なフォルムの白岩の絶壁が延々と続く景観は必見もの。
第3日目、内陸の町、カーン。大戦の傷跡も生々しい市内中央のカテドラル。同行した建築家の友人は、外観をひと目見ただけでどこからどこまでが中世の姿が残っている部分で、どこからが復興工事によるものかを見抜いてしまいます。素人の私には全然わかんないけど。
第4日目、印象派画家達を魅了したと言われるオンフルールの港町へ。ここがまあ、港はたしかに風情をとどめてはいるものの「プチ・ヴェネチア」と呼びたくなるような、観光客相手のお土産屋さん、レストラン、カフェの群、群、群・・・ものすごい密集率でした。
第5日目、シェルブール。雨傘を買うぞ!などとばかなことを考えていましたが、カンカンの晴天。港町探訪といってもいい今回の旅程で、このシェルブールの港周辺の「垢抜け度」はピカイチ。たぶん、パリの自転車好きなどが週末旅行に大挙してやって来る土地柄のせいで、センスが鍛えられているのでしょう。いやあ、来てみないとわからないものですね。
第6日目、モン・サン・ミッシェル。世界有数の観光地ですので、あえて私が筆の労を取ることもないですね。海からそびえ立つような修道院建築はただただお見事。海岸沿いに生える塩分の多い草を食べて生育するこの地方独特のヒツジの肉は、ウルトラ美味。超高級店にて食しましたが、これは散財の価値アリ。
最終日は再びパリ。東京でもすでにアッチコッチでみかけるアクセサリーブランド「アガタ」本店にて暴れ買い(「衝動買い」と「暴れ買い」は語義がちがうので、ご注意)。なんたって東京で買うのの3分の1ぐらいの値段。パリでの私の「リピート行事」です。
ノルマンディー地方にひとつだけ文句を言おうと思えば、それは「土地のワイン」がないこと。緯度が北すぎてブドウが育たないのです。唯一よく育つのは実の小さいリンゴ。どの家の庭にもリンゴの木があって、かわいい実が鈴なりです。これを原料にしたシードル(リンゴ酒)、カルヴァドス(食後酒用のリキュール)、ポモー(食前酒用カクテル)は、どこで飲んでも文句なく美味でした。
と、いうわけで、胃袋グルメ、目の保養もタップリのビジュアルグルメ、暴れたわりには予算内でおさまって財布もグルメ。友人のおかげで建築方面の知識もたっぷり蓄えさせてもらえたし。
明日からまた「ド勤労」の日々、そして・・・リッツ計画はまたイチからやり直しです。

Written by

記事を書いた人

ガットパルド(gattopardo)

伊・仏・英語通翻訳、ナレーション、講師など、幅広い分野において活動中のパワフルウーマン。著書も多数。毎年バカンスはヨーロッパで!

END