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奥が深かったエアロビクス

Hubbub from the Hub

通訳・翻訳者リレーブログ

最近は一昔前に比べて下火になったとはいえ、以前地元のジムなどでは人気を博しているエアロビクスのお話。数週間前に「エアロビクスのコンベンションがあって、その通訳依頼があるのですが……」というお問い合わせを頂き、新しい物好きな私はすぐに「是非お願いします。」何やら、必要であればマイク無しで会場内に声を届かせることが出来て、場合によってはインストラクターと一緒に動ける体力のある通訳を探していたとか。通訳技術とは関係ない部分でお声掛けしていただいたようですが、実はエアロビクスの経験はゼロ。周囲にも経験者が見つからず、シドニーから訪れるインストラクターのプロフィールや個人サイトで勉強の日々が続きました。

そんなある日、偶然知り合いの先輩に「今度エアロビクスのインストラクター向けコンベンションで通訳するんですよ」と伝えると、「なぜ早く言わないの!」との返答。エアロビクス通と言うことが判明しました。その後は携帯電話のメールやPCのメールで交信を重ねました。しかし足の動きなどはなかなかわかりにくい、ということではるばる実演に訪れてくださいました。神奈川で仕事のある日に、仕事が終わって駅前で待ち合わせ、まずは喫茶店でレクチャー。その後駅の隅っこへ移動し、実際に足の動きを見せてくださいました。隅っこといっても、帰宅途中のサラリーマンに見られながらの実演は、少し恥ずかしくもありました。「これがVステップ」「これがマンボ」「これがステップタッチ」などなど。ステップの多さや、動きの複雑さに、結局「ステップの名前はカタカナ出しすれば大丈夫だ」と不謹慎な自信だけつけ、帰宅しました。

2日間のコンベンションの1日目。インストラクターに話を聞きに行くと、コレオグラフィー(振り付け)とインテンシティー(強度)をどう両立させるかのレクチャーを1時間して、その後実演するとか。なにやら振り付けに凝ると、運動強度は反比例的に下がってしまうらしいのです。それを避けるコツを伝授してくださるとの事。一生懸命1時間通訳をし、その後大音響の実演が始まりました。100人以上入ったアリーナの中で、参加者と一緒にエアロビクスです。私は横に小さくなって座っていましたが、参加者の熱意に感激しました。

2日目は違ったテーマでありましたが、基本的には同じ流れでコンベンションは進みました。エアロビクスの世界では神様のようなインストラクターだそうで、レッスンの後にはサインや写真をねだるファンの列が出来ていました。彼女は汗だくの服のまま、丁寧に1人1人に対応していました。

彼女が最後に残したメッセージは、「インストラクターを5年間すると、自信が出てくる。10年すると、5年前が自信過剰であったことに気付く。15年経つと、まだまだ学ぶべきことは多いと気付く。」そして「練習によってのみ、適切なインストラクションやパフォーマンスが可能になる」とのこと。思わぬエアロビクスの面白さを発見しただけではなく、インストラクターの高いプロ意識にも感銘を受けた2日間でした。

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Hubbub from the Hub

幼い頃から英語に触れ、大学在学中よりフリーランス会議通訳者として活躍、現在は米国大学院に籍を置き、研究生活と通訳の二束のわらじをはいている。

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