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ハリケーンの惨劇

Hubbub from the Hub

通訳・翻訳者リレーブログ

フロリダから始まり、ニューオーリンズなどの米国南部を襲ったハリケーンの惨状は、日本でもTVのニュースや新聞で報道されていると聞きます。こちらでももちろんCNNをはじめ、各局のニュースが途切れること無く、最新の情報を伝えています。こちらで救急救命士の資格をもつ私の元にも、様々な手助けの要請が届いています。どれも最低で2週間のコミットメントを求めているために、残念ながら直接のお手伝いはできずにいるのですが、知り合いの救命士は赤十字などから派遣され、現地で活動をしています。

こちらの大学の同僚で、ニューオーリンズから今夏ボストンに引越しをしてきた新しい教授がいます。彼女は夫とその家族を合わせた8人が自宅の屋根の上に取り残されたままです(9月4日現在)。彼女が担当する予定であった授業などは全て仲間で手分けをして、彼女の仕事量を減らしていますが、ボストンにいても何もできず、現地に向かったとしても何もできないことによる心労は、かなりのものであるのが、見ていてよくわかります。特に昨年秋、複数の候補者の中から新任教員を決めるためのプレゼンテーションを彼女が行った際、誰もが彼女の明るい性格に惹かれました。誰もが彼女の笑顔を待ち望んでいます。

復興には相当の時間がかかるのでしょう。災害は誰にでも起こります。しかし「災害は人を差別する」とも言います。実際に富裕層では災害保険を得て、新居の計画を考え始めている人もいるそうです。逆に貧困層のアフリカ系アメリカ人や移民は、持つ物全てを失った状況だといいます。今回の災害で明らかになった、より大きな問題に対する取り組みが行われることを望むばかりです。

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Hubbub from the Hub

幼い頃から英語に触れ、大学在学中よりフリーランス会議通訳者として活躍、現在は米国大学院に籍を置き、研究生活と通訳の二束のわらじをはいている。

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