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Hubbub from the Hub

通訳・翻訳者リレーブログ

ボストンでは通訳者・翻訳者としての生活だけではなく、研究者としてアメリカ文化における科学技術の役割を研究していますが、気分転換にいくつかの映画を観に行ってきました。その中でも4月に公開されたThe Interpreterと5月に公開されたStar Wars: Episode IIIに通訳の極意が隠されていたように感じ、自分を見直す機会となりました。The Interpreterでは主人公のSilviaはこう言います。”If I interpreted ‘gone’ as ‘dead,’ I would be out of a job.”確かに通訳の基本は「オリジナルに忠実に訳出する」こと。プロとして、私達は正しい英語で正確にメッセージを伝えようとします。しかしStar Warsを観た後に、「Yodaが大きなファン層を持ち、子供達からも人気を博しているのは、彼の感情あふれるたどたどしい英語にあるのかもしれない。」とも感じました。”Truly wonderful, the mind of a child is.” “Much to learn, you still have.”という風です。確かに英語としては正しくありませんが、彼の感情あふれる話し方と、大切なメッセージをストレートに伝えるスタイルは、自分も見習わなければならないと感じました。研究者として論文を執筆していると、パソコンのcopy and paste機能を使って、ついつい複雑な文章を書きがちです。学術論文とはその様な文章であふれ(Hartman, Saidiya V. Scenes of Subjection. New York: Oxford UP, 1997.は非常に優れた本ですが、academic Englishの典型です)、「それではいけない。」と思いながらも、自分の英語を振り返るとそれに影響されていることがあります。ネイティブスピーカーでない人とコミュニケーションすることが多い英語通訳者の1人として、「ストレートで分かりやすい訳を心がけなくては」と気付かされる経験でした。

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Hubbub from the Hub

幼い頃から英語に触れ、大学在学中よりフリーランス会議通訳者として活躍、現在は米国大学院に籍を置き、研究生活と通訳の二束のわらじをはいている。

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