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第172回 男の絆を感じるときに思い出す詩

にしだ きょうご

今日をやさしくやわらかく みんなの詩集

男の絆。

それは、弱い己を知る者同士に芽生える、熱き連帯感。

弱さとは、腕力や経験や能力や、ずっと喉に引っかかった人生の痛み。

それでも、己の生き方をそれぞれに貫こう!と盛り上がったときに思い出す詩があります。

*****

To F. J. S.
Robert Louis Stevenson

I read, dear friend, in your dear face
Your life’s tale told with perfect grace;
The river of your life, I trace
Up the sun-chequered, devious bed
To the far-distant fountain-head.

Not one quick beat of your warm heart,
Nor thought that came to you apart,
Pleasure nor pity, love nor pain
Nor sorrow, has gone by in vain;

But as some lone, wood-wandering child
Brings home with him at evening mild
The thorns and flowers of all the wild,
From your whole life, O fair and true
Your flowers and thorns you bring with you!

*****

F. J. S.に
ロバート・ルイス・スティーヴンソン

友よ 君の表情から読み取れるよ
美しき君の人生の物語が
君の人生という川を 僕はたどり
陽の光が怪しく揺れる川底から
はるか彼方の湧き出す泉まで

君の暖かな胸の鼓動も
君の頭に浮かぶ思いも
喜びも情けなさも 愛も苦しみも
悲しみも無駄にはならないよ

ひとり森を彷徨う少年として言えるのは
穏やかな夕暮れに家にたどり着くと
野の花や棘を連れて来るものだから
君も生きてれば 君は君らしく
君の花や棘を 連れて行けばいい!

*****

これは、なんとも熱き男の応援歌!深く深く胸に言葉が突き刺さりますね。

冒頭の流れが、最高にかっこいいですよね。顔に浮かぶ表情だけで、その人の人生の紆余曲折に思いを馳せてあげられること。

I read, dear friend, in your dear face
Your life’s tale told with perfect grace;
The river of your life, I trace
Up the sun-chequered, devious bed
To the far-distant fountain-head.
友よ 君の表情から読み取れるよ
美しき君の人生の物語が
君の人生という川を 僕はたどり
陽の光が怪しく揺れる川底から
はるか彼方の湧き出す泉まで

今、目の前に見えてるのは、雄大に流れる川であったとしても、その前には、人生の急流があり、そのさらに前には、自信なくこぼれるチョロチョロとした流れがあり、そのはるか前には、湧き出した泉のような、始まりの物語があったんだ、と。

人の今の姿は、その人の全てでない。その人の人生の源流の物語に思いを馳せることができたら、人はお互いに対してもっと優しくなれるだろうと思います。

Not one quick beat of your warm heart,
Nor thought that came to you apart,
Pleasure nor pity, love nor pain
Nor sorrow, has gone by in vain;
君の暖かな胸の鼓動も
君の頭に浮かぶ思いも
喜びも情けなさも 愛も苦しみも
悲しみも無駄にはならないよ

気持ちのすべてに行き着く先があるわけではないし、思いのすべてに行動が伴わないこともあるし、情けなさなんて毎日感じるし、どんな愛も苦しみも悲しみも無駄にならないとわかっていても、辛いときもあるし。

でも、それを「そういうこともあるよね」と優しく受け止めて、肩でも組んで、夕陽に向かって歩けば、明日という日を迎える自信が湧いてきたりもするのです。

But as some lone, wood-wandering child
Brings home with him at evening mild
The thorns and flowers of all the wild,
From your whole life, O fair and true
Your flowers and thorns you bring with you!
ひとり森を彷徨う少年として言えるのは
穏やかな夕暮れに家にたどり着くと
野の花や棘を連れて来るものだから
君も生きてれば 君は君らしく
君の花や棘を 連れて行けばいい!

そして、迎えるフィナーレがカッコ良すぎます!

人生という旅路の中で、誰もがひとり森を彷徨ってしまうときがあります。気づいたら道を見失ってしまうこともあれば、敢えて自分の道を歩もうと森に分け入ることもある。

そして、落ち着ける自分の居場所に戻るときには、栄光の花も、棘だらけの傷も作って、帰って来るものなのです。

そんな生き様を、人は笑うかもしれません。でも、自分自身に嘘をつくことなく、自分らしく生きる様を、隣で熱く励ましてくれる友人がいたら。

そうしたら、どんな時も誇れる自分でいられる気がしてくるものなのです。

*****

今回の訳のポイント

個人的に、好きな詩のジャンルとして、詩人が特定の人物に宛てて書いた詩というのがあります。

この詩のタイトルも、To F. J. S.となっていて、相手の名前のイニシャルをタイトルに含めています。

手紙という私信でもなく、かと言って、独立した美的作品でもない。公開されることは想定しつつ、個人的な思いもにじみ出ている。

完璧に加工されイヤホンで聴く音楽と言うよりは、生演奏の弾き語りに耳を傾ける感覚のような、音の震えが身体に感じられるような肌感覚を得られる気がします。

*****

わたしたちは身近な人たちに、「ありがとう」とか「ごめん」とか「がんばって」など言葉をかけます。しかし、その短い言葉にはさまざまな思いが込められているわけで、それを必ずしも言葉にして伝えるわけではありません。

ひと言じゃ思いを伝えきれないし、かと言って、手紙じゃなんだか説明的すぎるし。何かもっと少ない言葉で、多くを感じさせるような、、、

そんな時は、詩!

書いてみませんか。

 

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Written by

記事を書いた人

にしだ きょうご

大手英会話学校にて講師・トレーナーを務めたのち、国際NGOにて経理・人事、プロジェクト管理職を経て、株式会社テンナイン・コミュニケーション入社。英語学習プログラムの開発・管理を担当。フランス語やイタリア語、ポーランド語をはじめ、海外で友人ができるごとに外国語を独学。読書会を主宰したり、NPOでバリアフリーイベントの運営をしたり、泣いたり笑ったりの日々を送る。

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