INTERPRETATION

第1回 今のあなたのやり方で大丈夫?

上谷覚志

忙しい人のためのビジネス英語道場

2年前に”やり直し!英語道場”というコラムをこちらで担当させて頂きました上谷です。今回はその続編で「忙しい人のためのビジネス英語道場」いうタイトルで書かせていただくことになりました。”忙しい人のため””ビジネス英語”という言葉からもわかるように、時間が限られた中で、ビジネス英語をマスターするためには何をしていけばいいのかを、自分のこれまでの経験、普段の授業や通訳現場での気付きから書いていこうと思います。

第1回目の今回は、”何から始めればいいのか?”を考えていきたいと思います。ビジネス英語を勉強しようと思う動機や現時点でのレベルもさまざまでしょうから、当然具体的に何をするかは個人個人で変わってきます。とはいってもTOEICが100点台の人でも990点取っている人でも実は最初にやることは共通して、これをやらないと三日坊主(ひょっとしたら三日すら続かない)で終わってしまいます。皆さんが英語をもう一度やり直そうと思った時最初に何をやりましたか?

学校を探した方、知り合いにアドバイスをもらった方、新しいテキストや問題集を買った方、いろいろいるかと思います。その前にやるべきことがあります。自分にしかできないこと、そうです!スケジュール・目標設定・自己分析をすることです。本当はここが決まらないと次に決めるべきことも決められません。

面白いことに、英語の得意、不得意は別にして、ほとんどの方の家には英語の辞書があり、探せば昔使っていた文法書や問題集がどこからか出てくるのではないでしょうか。またネットの環境があれば、すぐに音声教材も見つかりますので、やろうと思えばすぐに勉強が始められます。何かのきっかけで英語をもう一度やろうと思ったその日からその勢いで最後まで突っ走ることができればいいのですが、多くの方が経験しているように、いつの間にかやらなくなってしまいます。

日本で英語を勉強した方であれば、中学から勉強を始め、ほとんどの方が高校受験や大学受験という目標のために勉強をした経験があると思います。その時を思い出してみると、入試日(または中間・期末試験日)が決まっていて、やるべきこともかなり明確に定義されていました。その結果、いつまでに何をしないといけないのかも決まってきますし、自分の勉強が進んでいるのか、遅れているのか、遅れている場合いつ遅れを取り戻すのかというように自分のスケジュールを管理したはずです。

例えば3か月後に何らかの成果を出したいのであれば、そこから逆算して今何をすればいいのかを理解して勉強するのかそうでないのかでは、結果に対する満足度に大きな違いが出てきます。

受験勉強のように追いつめられて勉強しないといけないと言っているのではなく、ゆっくり進めたければそれもいいでしょうし、できるだけ早くできるようになりたいのであれば、それに合わせてやるべきことが決まってきます。転職するタイミングや新しい業務が始まるタイミングやテストを受けるタイミングによって、自分でスケジュールや目標レベルを決めることができます。

目標やスケジュールが状況に応じて、途中で変わっていくことは当然あるとは思います。始める時点での自分のレベルを把握しておかないと、最終的にどれくらい伸びたのかもわからないですし、途中で挫けそうになった時や、中弛みになった時に原点に戻るためにも必要です。これから英語を始める方もすでに始めている方も現時点の自分の立ち位置を再確認し、いつまでに何をどう進めて、何を達成したいのかを書き出してみてください。この書き出すということもポイントです。頭の中で何となくイメージするのではなく、実際に書き出しておくことで後から読み返した時に初心に戻ることができるのです。

私がやっている講座では、最初に今期の自分の目標をクラスの中で発表してもらいます。つまり、1期が3か月ですので、3か月後の目標は何か?という質問に答えていることになります。しっかりと考えている方もいますが、”リスニングを強化したい””語彙を増やしたい””もう少ししっかり話せるようになりたい”といったかなり曖昧な目標の方もいます。果たしてこれを目標として3か月間進めていいのでしょうか?答えはNOです。しかしながら目標について聞かれると、こういう感じの答えが本当に多く返ってきます。これは実は目標というよりも”希望”または”夢”であって、これから勉強していくための目標としては抽象的すぎます。ではどういう目標を立てればいいのかを次回お話ししていきたいと思います。

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記事を書いた人

上谷覚志

大阪大学卒業後、オーストラリアのクイーンズランド大学通訳翻訳修士号とオーストラリア会議通訳者資格を同時に取得し帰国。その後IT、金融、TVショッピングの社での社内通訳を経て、現在フリーランス通訳としてIT,金融、法律を中心としたビジネス通訳として商談、セミナー等幅広い分野で活躍中。一方、予備校、通訳学校、大学でビジネス英語や通訳を20年以上教えてきのキャリアを持つ。2006 年にAccent on Communicationを設立し、通訳訓練法を使ったビジネス英語講座、TOEIC講座、通訳者養成講座を提供している。

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