INTERPRETATION

第100回 Figures of speech その3 What gets you up in the morning?

グリーン裕美

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。おかげさまで本コラム連載が100回目(2周年)を迎えました。いつもお読みくださってありがとうございます。連載開始した2年前は欧州で何が話題になっていたのかを振り返ると(参照記事)「ギリシャ問題」でした。そして第3回で取り上げた「aGreekment」はまさにFigures of speechのparonomasia(駄じゃれ)カテゴリーに入る通訳泣かせの表現ですね。

さて今回は100回記念ということとFigures of speechの連載中であることを考慮して、私がふだんから気に入っている表現や引用文を紹介します。

1. What gets you up in the morning?

この質問で何を聞き出そうとしているのでしょう? あなたなら、どう答えますか? 

(んー、何で朝起きるかだから…)

” The alarm on my iPhone”

実家にお住まいの方だと

“My mum keeps calling me until I get up”

などはトンチンカンな答え。

この質問が意図しているところは、「目覚めるときに何を思い浮かべるとさっと起き上がれるか」→「どんなことにやる気やインスピレーションを感じるか?」という意味なので、

I’m motivated by…のように自分が何に熱意を感じるかという回答が期待されています。面接でよく聞かれる質問の一つなので外資系企業の英語面接を受けるという人は答えを用意しておくとよいでしょう。

この表現は、”it is important to make money, but it is not what gets me up in the morning. I am making a difference to …”と自分のモチベーションや夢、希望を語るときにも使われます。「今日はこれこれをするぞー!」とやる気に満ちている日は朝も起きやすいですよね。そんな気持ちを連想するこの表現(what gets you/me up in the morning)が好きです。

逆の関連表現としては、”what keeps you awake at night”。

「(夜眠れないほどの)悩み事」の意。先日通訳した国際会議でこの表現が連発されました。

2.There is no elevator to success. You have to take the stairs.

アメリカの自己啓発作家が残した名言ですが、これはほぼ直訳でも十分通じますね。「成功へのエレベーターはない。階段を上るしかないのだ」って感じでしょうか。このフレーズは、勉強、スポーツ、仕事など何にでも当てはめることができます。結局「成功したければコツコツ努力をするしかない」ということ。

関連表現としては、

“How do you eat an elephant?”

“One bite at a time”

目の前に大きなタスクがあると、どこから始めたらいいのか分からなくて途方に暮れることが多いものですが、そんなときに思い出すフレーズです。「ゾウのような大きな動物を食べるとしても、一度に一口ずつ食べるしかない」。日本語の「千里の道も一歩から」に匹敵しますね。

古代ギリシャの哲学者、アリストテレスの名言を通訳の現場で訳したことがあります。

We are what we repeatedly do.

Excellence, then, is not an act, but a habit.

訳し方にはいくつかバージョンがあるようですが、結局伝えたいメッセージとしては「繰り返し行うこと・習慣の大切さ」。紀元前という大昔から伝えられてきたメッセージには重みを感じます。やはりここにも「コツコツ精神」がうかがえます。

3.Anyone who stops learning is old, whether at twenty or eighty. Anyone who keeps learning stays young.

最後に私自身がよく引用する名言を紹介します。自動車王と呼ばれるヘンリー・フォード氏が残した言葉です。「20歳だろうが80歳だろうが、学ぶことをやめた者は老人だ。学び続ける者は、みな若い」

先日誕生日を迎え、誕生カードに書かれた年齢を見て落ち込みそうになりましたが、いつまでも学び続け若々しくありたいと願っています。今後も皆様のお役に立てる表現をお届けできれば幸いです。

2017年7月3日

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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