INTERPRETATION

第62回 保険用語 第2弾

グリーン裕美

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。日本の皆さんは連休を楽しまれましたか。イギリスでは先週30度を超える真夏日が続き驚きましたが、またどんより厚い雲に覆われたすっかりイギリスらしい天気に戻っています。

では、前回に引き続き保険用語を紹介します。

1.無事故割引: accident-free discount

自動車保険にある割引で、1年間事故を起こしていなければ翌年の継続時の保険料が安くなるという制度です。「無~」の英訳で – freeがさっと出てくると英語らしくていいですね。よく似た意味でNo claim discount (NCD)またはNo claims bonus (NCB)もよく使われます。NCDやNCBは自動車保険に限らず、保険請求をしていない場合適用される割引です。

2.天災地変:act of God

地震・雷・洪水など、自然界で起きる様々な災いのことですが、人間の力では防ぎようもないので英語ではact of God(神業、神による行為)と言われます。「不可抗力」というとき、英語の契約書ではフランス語のforce majeureもよく使われます。「天災や不可抗力が原因で不履行になった場合は補償金が支払われない」というような内容の条項に出てきます。

3. (人やモノの)損傷、損害: damage

ケガをしたり、モノが壊れたりしたときに保険を請求することがありますが、「損傷/損害」というときはdamageと単数形です。damagesと複数形にすると損害賠償(金)という意味になるので気を付けましょう。

4. 免責金額:(英)excess (米)deductible

損害保険契約で保険金を支払う事故が生じた場合に、契約者(または被保険者)が自己負担するものとして設定された金額のこと。イギリスではexcess、アメリカではdeductibleと言います。

免責金額を超える損害については、免責金額を差引いた金額が保険金として支払われます。

スマホの修理に£100かかったとして、excessが£30の場合、保険から残りの£70が支払われます。

5. 損害てん補、損失補償: indemnity

損失や損害があったときの補償となる保険をindemnityと言いますが、損害補償の支払い義務からの免責のことを指す場合もあるので、文脈に気を付ける必要があります。

6.専門職業人賠償責任保険: professional indemnity insurance

専門的事業に携わる者を対象とする損害賠償責任保険。「専門職」というと医師・看護師・弁護士・公認会計士などの職業を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、私たち翻訳者や通訳者も含まれます。大きな訳ミスをしたことが原因でクライアントが大損失を被った場合、実際に翻訳者・通訳者が責任を問われることがあります。この保険に入っておくと、そんな恐ろしいことが起きた場合、自分で損失額を負担しなくていいので安心です。

イギリスでは、過去にある日本人翻訳者がドッグフードをキャットフーと間違えて訳し、誤りに気が付かなかったクライアントが缶のラベルを大量に印刷してしまい、翻訳者に賠償責任が問われるという1件があったそうです。幸い、この翻訳者はprofessional indemnity insurance に入っていたとのことです。

何かのときのために入っておくと安心な保険ですが、何が起きるか分からないので、なんでもかんでも保険に入ると月々(または年ごと)の出費が高額になり、問題が起きないと損したような気がするので、どれに入るかの決断は難しいですね。

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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