INTERPRETATION

Vol.9 姫野恵美子さん「熱く、熱く!」

ハイキャリア編集部

多言語通訳者・翻訳者インタビュー

【プロフィール】
姫野恵美子さん Emiko Himeno
亜細亜大学経済学部国際関係学科卒業後、株式会社大韓航空入社。その後、インハウス韓国語通翻訳者として数社に勤務、現在も翻訳者として活躍中。平成6年には馬術研修生として研鑽を積み、現在は女性初の流鏑馬(やぶさめ)門下生として、神事にも参加。今年で、流鏑馬歴10年を迎える。

韓国語に興味を持ったきっかけは?
ミーハーですが、韓国人バレーボール選手のファンになったことがきっかけなんです。ある試合を観にいった時に、韓国人代表の選手に一目惚れしてしまって。彼が話している言葉を聞いて、「よし、この言葉を勉強する!」と思ったんです。何としてもファンレターを書きたい一心でした。高校2年生の時です。当時、これから英語ぐらいは話せるようになりたいなぁと思っていたんですが、韓国語を聞いた時の衝撃がすごくて、英語熱も吹っ飛んでしまいました(笑)。
どのようにして勉強されたんですか?
当時、「朝鮮語」と呼ばれていた時代だったんです。NHKラジオ講座もありませんでした。最初は、韓国旅行ガイドブックに付いていたハングル文字表を下敷きに挟んで、授業の合間に見ていました。何とか文字は覚えたんですが、やっぱり独学ではダメだろうと思い、大使館に問い合わて学校を紹介してもらいました。
当時、韓国語というと珍しかったのではないでしょうか。
学校に来る生徒も、これから韓国に駐在する人、奥さんが韓国人の男性など、皆何かしらの理由があって勉強しにきている人達ばかりでした。私は目立っていたようで、ある時先生に呼ばれて、「どうして韓国語を勉強するんだい?」と聞かれたんですよ。正直に理由を説明したところ、すごく笑われたんですけれど(笑)。
大学の友達に、「私、韓国語を勉強してるの」と言うと、きょとんとされました。今は韓流ブームなんていわれていますが、当時は勉強しようとしても、教材もない、辞書もいいものがない、本もないという状態でした。
大学卒業後は、航空会社に?
昔から飛行機が好きで、航空会社で働きたいなと思っていたんです。付け焼刃で英語を勉強したんですが、なかなか難しく、これはダメかもしれないと思っていたところ、大韓航空の中途採用募集を見つけました。新卒は採らないと言われていたんですが、何とか入れて頂き、入ってからは根性でがんばりました。
当時、韓国語を話せる日本の女の子という存在が珍しかったようで、韓国人上司からは非常にかわいがって頂きました。同僚からは、「なんであの人、英語じゃなくて韓国語なのかしら」と思われていたようで、傍から見たら随分変わった存在だったようです。
その後、数社でインハウスをご経験されたのですね。
特に通訳翻訳の仕事をしたいと考えていたわけではありませんでしたが、「あれ? 結構できるじゃない?」と思ったんですよ(笑)。性格的に、在宅翻訳は向いていないと思うんですが、オンサイトで通訳や翻訳を担当させて頂くと、いろんな方との出会いがあり、直接専門的な話が聞けて、とっても刺激になります。調べ物も好きなんです。この仕事を始めて10年になりますが、嫌だと思ったことは一度もありません。
得意分野は?
得意というか、よくご依頼頂き、好きなのは半導体やエンジニア向けのマニュアル翻訳です。
スキルアップのためにこころがけていることは?
韓国に住んでいるわけではないので、毎日ひたすらKNTV(衛星放送)を見ています。ニュースから大河ドラマまで、本当にいろんな番組があるので飽きないんです。韓国語に関わる人たちにとっては、最高の学習教材ではないでしょうか。昔に比べると、韓国語も随分丸くなってきていて、例えば私が勉強し始めたときに10代の女性が話していた言葉と、今の女性が話す言葉は全然違うんですよ。
いざという時の英語電子辞書と現在読書中の本
最近の韓流ブームについてはどう思いますか?
こんな風になるとは思っていませんでした。もともとドラマをそれほど見るタイプではありませんが、昔から韓国ドラマは面白いなと思っていたんです。字幕がないので、日本で紹介されることもないのかなと思っていたところ、ヨン様の登場とともに、爆発的なブームになりましたね! 電車に乗っていても、韓国語のテキストを持っている人を見かけるようになりましたし、私が韓国語ができるとわかると、「私も勉強しているんです!」と、ものすごい勢いで話しかけられることがあります(笑)。こっちがそのエネルギーに圧倒されてしまうことが多いですね。何でも勉強を始めた頃ってすごくパワフルじゃないですか。是非そのモティベーションを持ち続けてほしいなと思います。
プライベートでは流鏑馬(やぶさめ)を?
昔から興味があり、休みを利用して鎌倉の八幡宮に観に行っていたんです。是非やってみたいと思ったんですが、電話で問い合わせたところ、女性にはあまりお勧めできないと言われました。どうしても諦められなくて、何かいい方法はないかと考えていたところ、まずは馬に乗れた方がいいんじゃないかと思ったんです。早速空港近くの乗馬クラブに入会したんですよ。夢中になると突っ走ってしまう性格で、気が付いたら勤務中も馬のことしか頭にないんです。かーっとなってしまうと止められないんですよね。そんな時、競技会出場選手育成メンバーとして採用されたので、翌日会社に辞表を出しました! 年齢的にも、このチャンスを逃したらもうないと思いましたし、安定した生活を取るのか、自分のやりたいことに賭けてみるのかを天秤にかけたら、やりたい気持ちの方が勝っちゃったんですよ。
その後、馬術から本格的に流鏑馬の道に進まれたんですね。
ある時、馬術の指導者に「この先、何を目指してる? 馬場馬術、障害、それとも指導者か?」と聞かれたんですよ。「実は流鏑馬を」と言うと驚かれましたが、その方の後押しのお陰で、流鏑馬の世界に入ることができたんです。女性がやっていくには厳しい世界なので、周囲も「まぁ落馬したらやめるだろう」ぐらいにしか考えていなかったようでしたが、やめようとは思いませんでした。本来、流鏑馬は馬術というより弓術と武家礼法の世界で、昔から男性がやるものなんです。特に神事では女性が騎乗できない場合もあります。力の差もあり、なかなか男性には追いつけませんが、最近では女性の数も少し増えてきたので、あぁ時代は変わったなと思います。体力的にはこれから厳しくなってくるでしょうが、私の心の支えなので、何らかの形でずっと続けていきたいと思っています。
今後は?
韓国語に関わりつつ、流鏑馬を続けていけたらと思っています。今までは、ずっと外に向かって動いてきたんですが、これからは自分の中の静かな面にも目を向けてみたいんです。最近は料理もやっているんですよ(笑)。韓国語に関しても、お金に関わることだけではなく、人道的なこと、韓国語をやってきたからこそできることを私なりに探していきたいと思っています。
韓国語通訳翻訳者を目指す方へのアドバイスをお願いします。
英語と違って、コンスタントに仕事があるわけではありません。最初はあまり選ばずに、幅を広げてやってみるといいと思います。そのうち実力もついてきます。柔軟に動いていけるといいのではないでしょうか。

編集後記

ショー出演者と間違われた、というエピソードには納得! 見とれてしまいました。現在24歳ということですが、夢に向かってコツコツ努力されている姿は、本当に素敵です。日本での生活も楽しんでいらっしゃるようで、「飲み会」という言葉がディナーラさんから出てきたときには、びっくりしました!

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ハイキャリア編集部

テンナイン・コミュニケーション編集部です。
通訳、翻訳、英語教育に関する記事を幅広く発信していきます。

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