INTERPRETATION

Vol.7 「自分を知る喜び」

ハイキャリア編集部

通訳者インタビュー

【プロフィール】
白石哲也さん
Tetsuya Shiraishi
上智大学法学部国際関係法学科卒業後、ロータリー・クラブ奨学生としてAustralian National Universityに留学。帰国後、通訳翻訳者として活動を開始。法律・医学関係・財務・通信など分野を問わず、様々な企業で通訳・翻訳業務に携わる。現在は外資系企業に通訳者として勤務。

Q. 通訳翻訳者を目指すようになったきっかけは何ですか?

大学時代に通訳の授業を取っていたこともありますが、知り合いから翻訳を頼まれたのが直接のきっかけです。「じゃあやってみるか」という感じで。そのまま通訳・翻訳者として働くようになったのですが、始めた時は無我夢中でしたね。

Q. 企業に入って働くということは考えませんでしたか?通訳と翻訳の両立についても教えて下さい。

大学卒業時に、オーストラリア留学が決まっていたので、就職活動は全くしなかったんです。帰国後もサラリーマンとして働くことは頭にはありませんでした。
通訳翻訳の両立についてですが、最初長期で入った会社では通訳がメインでした。少しずつ翻訳も頼まれるようになったので、ごく自然に両方やるようになりました。両方好きですが、どちらかというと話している方が好きなので、通訳の方が向いているかなと思っています。

Q. 現在のお仕事について教えて下さい。

外資系企業のシステム部にいます。毎日9-18時、ちゃんと働いていますよ(笑)。通訳と翻訳の割合は半々なので、バランスもいいですね。国民の休日がない企業なので、GWは毎日出勤していましたが。

Q. 未経験分野の依頼が来た場合はどうしていますか?

基本的にスケジュールが空いていれば全て受けています。知らない分野でも、この機会に出来るようになればいいじゃないかと思って引き受けるタイプなんです。結果、ひどい出来で次からはもう頼まないと言われればそれまでですが、幸運にもそういうことはあまりありません。

Q. 今のご自分のスキルに対して、どう感じていらっしゃいますか?

まだまだ満足していません。今まで受けてきた仕事の中で、クライアントからNGが出ていなくても、自分の中で満足の行くパフォーマンスができなかったことはありますから。通訳にしても、翻訳にしても、まだこれから良くなる余地はかなりあると思っています。

Q. 演劇をされていると伺いましたが、きっかけは何だったんですか?

通訳翻訳の仕事をしていて、自分の中で「何かが足りない。もっと何かやることがあるんじゃないか?」と悩んでいた時期があったんです。そんな時、演劇学校の広告を見て、「あ、これ行ってみよう!」と。なぜ演劇だったのかは分かりませんが、何かで自分を表現したい、という気持ちがあったんでしょうね。僕にとって何かを表現するということは、自分を知る喜びなんです。

Q. 今後は?

いつか全てがつながる時がくるんじゃないかと思うんです。語学と演劇と自己表現が。今はそれを信じて前に進んでいます。実はオーストラリアにある演劇学校のオーディションを去年から受けています。2分間のモノローグが課題なんですが、とても難しいです。当たり前の話ですが、そこでは英語が出来るということが武器にはなりません。でも「できるんじゃないか?」っていう根拠のない自信があるんです。自分を信じてやるしかありません。

Q. どうしてオーストラリアだったんですか?

向こうでワークショップがあるという記事を読んで、ピンときたんです。参加してみたら、得るものがとても多くて。いろんな出会いもありました。何だか分かりませんが、今はオーストラリアに引っ張られている気がするんです。

Q. もし通訳翻訳者になってなかったら?

うーん、何でもありのような気がするんですが(笑)。今は何かクリエイティブなことがやりたいので、名坂さんのようにフラメンコにも挑戦してみたいんです。でも、始めるのであれば、趣味ではなく自分が納得出来るまでやりたいので。演劇にも役立つでしょうし。表現をする手段は多ければ多い程いいですからね!

<編集後記>
一見クールな印象ですが、演劇についてお話になるときの白石さんは、とても情熱的でした。フラメンコの話でも盛り上がりました。オーストラリア経由での俳優デビューが実現するよう、応援しています!

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ハイキャリア編集部

テンナイン・コミュニケーション編集部です。
通訳、翻訳、英語教育に関する記事を幅広く発信していきます。

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