INTERPRETATION

第615回 さあ、もうすぐ新年!

柴原早苗

通訳者のひよこたちへ

2023年も残すところあと数日となりました。本年最後の記事となり、次回のアップは1月2週目となります。改めましてご愛読いただきありがとうございます。ちなみに今回のコラムは第615回。私は数字をじっくり眺めるのが実は好きで、この615という数字は私の誕生日、6月15日でもあるのですね。なので何だかそれだけでもうれしくなります。

さて、みなさんにとってのこの1年、どのようなものだったでしょうか?楽しいこと、嬉しいこと、戸惑うこと、涙したことなど、色々あったと思います。私が最近愛聴しているJ-WAVEの番組で、別所哲也さんはいつもこのように述べています:

「人生、色々あるけどさ、ご機嫌は自分で作るもの。」

私はこの言葉に今年出会いました。そう、物事のとらえ方は自分次第。よって、状況を苦ととらえるか前進のための糧と思うかはすべて自らの思考にかかっているのです。私自身、2023年はあっという間で実に慌ただしく、多様な出来事にその都度対処しながら走ってきたように思います。たまに失速することもありましたが、夏の終わりごろから心の持ちようを変えたことで、とても穏やかに過ごせるようになったと実感しています。

そこで今回は私が工夫してみたことを少しご紹介しますね。みなさまのヒントになれば幸いです。

1 電子機器を19時以降に触らない
PCやスマホなど、電子機器を操作するのは19時までと決めました。私のように在宅フリーランスで働いていると、仕事とオフの境目がなくなりがち。業務メールが来ているのではとチェックしてしまったり、あるいは夜遅くまでLINEが気になってしまったりということをかつての私は続けていていたのです。でも、19時ルールを実施するようになり、読書や音楽鑑賞など、ゆったりとした気持ちで過ごせるようになりました。寝つきも良くなりましたね。

2 自分を元気にする「材料」を集める
いわゆる「推し活」でも良いですし、趣味や旅行、スポーツなど、「これに関わっていると私は元気になれる」というものをたくさんストックするようになりました。私の場合、ジム通い、おいしいカフェめぐり、読書、好きなコンサート、旅行などが含まれます。そうした幸せのために仕事を頑張ろうと思えています。

3 名言集の作成
私はいわゆる「名言集」が好きで、ネットでquotesなどをチェックしています。一時期、名言をカードに書き出して箱に入れて集めていたこともあります。でも、出先ではカード用紙を持ち合わせておらず、作成不能に陥る事しばし。そこで思いついたのがノートへの記入。私は日記も備忘録も仕事もすべて同じ一冊のB5リングノートに統一しています。左開きで横書きの仕様なのですが、このノートの最終ページの方を「右開き」にして、そこに通し番号をつけて名言を書くようにしたのです。出典は書籍であったり、新聞で読んだインタビューであったりと色々。今のノートにはすでに400以上の名言がたまりました。ちなみに私は移動中もなるべくスマホに触らないようにしているのですが、時間があるときは、電車の中でこの名言を見直しています。自分のために書いた名言。世界でたった一つのコレクションです。

4 栄養と睡眠の徹底
スポーツ選手やCEOのインタビューなどを読むと、やはりみなさん睡眠を大事にしています。平均すると8時間という方が多いですね。かつての私は夕食後もスマホやLINEで時間を奪われていたのですが、今は8時間睡眠を死守のため、さっさと寝るようになりました。早朝シフトの日は20:30就寝です。一方、栄養はあの「まごわやさしい(豆・ごま・わかめ・野菜・魚・しいたけキノコ類・芋類)」を毎日摂るようにしています。おかげで体調が良くなりました。

5 最後に
2023年に意識したこと、それは出会いを大切にすることでした。仕事やプライベートで新たに知り合う方との関わりを「貴重なご縁」と改めて大切に思うようにしたのです。おかげさまで、人生や仕事で目指す方向性が私と同じ方との出会いがたくさんありました。今ではお互いに励まし合いながら、刺激を与えながら連絡を取り合っています。そのような方々は「良き仕事をして、社会に貢献したい」という思いを抱いておられ、私も多くのことを学ばせて頂いています。

さあ、あと少しで今年も終わり。来年も健やかな心身を目指しながら、良き仕事、そして実り多き人生を歩んでいきたいと思っております。みなさまもどうぞ良いお年をお迎えくださいね。

(2023年12月26日)

【今週の一冊】

「『音楽する』は脳に効く」重野知央編、学研、2022年

まずは出版社名に注目!学研といえば、子どものころに小学校経由で購読していた「科学」と「学習」を思い出します。まだインターネットが無い時代でしたね。付録がスグレモノで、毎月楽しみにしていました。その後、学研はチャレンジングな時期を経てきましたが、最近は学習教室や介護などで再注目されています。

さて、今回ご紹介する一冊は音楽に関するもの。私は3歳から18歳までピアノを習ったことがあり、今も音楽は大好きです。音楽というと余暇のイメージが強いのですが、生きる上で自分を励ましてくれたことも数知れず。とりわけロンドンに留学中は修士課程の課題があまりにもハード過ぎてクラシックコンサートに私は逃避していました。歳を重ねてきた今も、音楽に救われることがたくさんあります。

本書は脳内科医、音楽評論家、ピアニスト、弁護士など幅広い職業の方がそれぞれの観点で音楽について分析しています。中でも印象的だったのは医師・和田秀樹氏の見方。老化を防ぐには「ワクワク・ドキドキする」ことが大事と説きます。そう考えると、通訳の仕事は未知の分野へのワクワク感があり、本番中は良い意味でアドレナリンが上がります。もしかしたら感情の若々しさを保てる職業かもしれませんね。

一方、PRコンサルタントの須永由美子氏は音楽演奏について「上手下手」よりも「楽しみながらずっと続けている」ことを重視しています。これは英語や通訳訓練も同じ。それが長続きの秘訣と言えるでしょう。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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