INTERPRETATION

第4回 無駄な時間を見極める

柴原早苗

通訳者のひよこたちへ

気が付いたら12月も残りわずかとなりました。みなさんにとっての2010年はどんな年だったでしょうか?来年に向けて気分も新たに、色々と計画を練っていらっしゃる方もおられるかもしれませんね。

私にとっての過去12か月間は、時間のやりくりに試行錯誤するというものでした。多くのみなさんと同様、仕事や家庭、子育てなど、一日当たりあと1時間があったらなあと思う日々が続いたのです。時間管理に関する書籍を読んだり、省けることは省いたりと自分なりに工夫も施してみました。

そうした中で気づいたことが3つありました。「自分にとっての無駄な時間」ベスト(あるいはワースト?)スリーについてです。

まず一点目は「子どもたちを叱る時間」です。

二人の子どもを育てる以上、いずれ社会人として自立しなければなりませんから、社会のルールや約束事、しつけなど、伝えなければならないことは山とあります。何度注意しても直らなかったり、大事なことを後回しにしたりと、子ども特有の習性とのバトルが我が家にもありました。母親としてどのように「最小限の叱りで最大限の説得」を見出せるか、ずいぶん悩みもしました。

そうした中でわかったこと。それは「子どもの習性や語彙力などを考えた際、何度言ってもなかなかわからないのは当たり前。だからこそ、淡々と言い続けるのが親の役目」ということでした。

今までの私は疲れているとつい必要以上に怒ってしまい、あとで自己嫌悪に陥ったり、親子関係の修復に頭を悩ませたりと、時間的にも精神的にもずいぶんエネルギーを取られてしまうことが続いていました。つまり大事なのは、叱る段階で「後悔しないような叱り方」を考えた方がベターだということなのです。このスタンスで子育てをとらえるようになってから、大分時間の面での損失が減少したように思います。

二点目は「悩む時間」についてです。

仕事や日常生活などにおいて、私たちは生きていれば何らかの『悩み』に遭遇します。忘れようと思っても頭をもたげてきてしまい、なかなか目の前のことに集中できないということもあるでしょう。そうなってしまうと、本来やるべきことがおろそかになってしまったり、おざなりになってしまったりということも考えられます。

では悩みが生じたときにできることは何でしょうか?悩む時間をなるべく生み出さないためにはどのような対策があるでしょうか?

私自身が行き着いた結論は二つでした。一つ目は「悩んでもしょうがない。やめ、やめ!」とあえて口にして「悩む」という行為をその時点でやめてしまうこと。もう一つは、専門家に相談することです。自分一人の力で解決できそうもなければ、やはりプロの力を借りる方が、たとえカウンセリング費用がかかったとしても、専門的な見地から突破口を見つける手助けになると思います。

三点目は「現実逃避しない」ことです。

疲れているとつい「あ~、今日はがんばったなー。ちょっと寝る前にネットサーフィンしてもいいかな」と思ってしまいます。私の場合、この「ちょっと」がくせもので、ついダラダラとパソコンの前で過ごしてしまうのです。ネットサーフィン自体が悪いことだとは思いませんが、なぜか見終わった後、むなしい罪悪感に駆られてしまうのです。そうなのであれば、やはり有意義なリラックス法の方が、自分のためにも良いと思うようになりました。この点に関してはまだまだ発展途上の私ですが、「頭が疲れている日」は手紙書きやストレッチなど、体の一部を動かすことでリラックスをします。一方、「体が疲れている日」は夜景を見たり写真集をめくったりするなどして、脳に心地よい刺激を与えようと思っています。

一日の終わりに後悔しないためにも、今目の前のことを丁寧に行いつつ、自分の体をいたわりながら、穏やかな年を迎えたいと考えているところです。

みなさんもよいお年をお迎えくださいね。

(2010年12月27日)

【今週の一冊】

「子どもの成績がみるみる上がる 3分間キッチンタイマー勉強法」後藤武士、アスコム、2010年

本書は主に小学生の保護者向けに書かれたものだが、社会人でも大いに活用できる。私自身、タイマーを愛用しているので、キッチンタイマーをどのように活かせるか改めて知ることができた。

著者の後藤氏は本書の中で、勉強で大事なのは「反復」と述べている。一回やっただけで身につくことはなく、やはり何度も何度も繰り返し書いたり唱えたりすることで自分の力になるのだという。こうした基本的なことを私たちは忘れてはいないだろうか。

「最初の3分間が勉強時間の中で最も集中できる」「最初と最後の5分に学んだことは忘れにくい」「同時進行で複数の科目を勉強すると良い」といったポイントも、英語学習に応用できそうだ。また、受験問題集については「過去問10年分を設問ごとに解くと傾向が見えてくる」とのこと。これはTOEICなどの検定試験にも使えるであろう。

悩む時間があったら、まずはタイマー片手に取り組んでみる。これが最初の一歩となりそうだ。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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