INTERPRETATION

第56回 Brexit Update! 日英の新経済連携協定、来年1月発効の見込み

グリーン裕美

国際舞台で役立つ知識・表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。猛暑が続いているようですが、みなさま体調は大丈夫でしょうか? イギリスも35℃前後の真夏日が続き、今も脳が溶けそうです! イギリスは暖房設備は充実していますが、冷房設備はないに等しいので暑いときはジッと耐えるしかないのが辛いです。

それでも今週はBrexit Updateをお伝えしたいと思います。

日本でも報道されていますが、先週茂木外相 (Foreign Minister Toshimitsu Motegi) がイギリスのリズ・トラス国際貿易相(Trade Secretary Liz Truss)を訪問し、イギリスとの新たな通商交渉 (trade deal) をめぐる閣僚協議 (ministerial talk) が開催されました(参照記事:NHKFinancial TimesBBC)。

Brexitの日程をおさらいすると...(第44回参照)今年の初めにイギリスはEUを正式に離脱しましたが、今年末(2020年12月31日)までは移行期間 (the transition period)のため貿易を含むヒトやモノの移動に関してはEU単一市場(the Single Market)の条件が続きます。ただし、この期間中に将来の関係について合意ができなければいわゆるNo-deal Brexit(合意なきEU離脱)、つまり世界貿易機関の取り決め(WTO trading terms) に従うことになり、優遇措置がなくなります。移行期間を延長するのかしないのかについての議論もありましたが、もう延長しないことに決定しています。したがって、現在イギリスはEUとの交渉の大詰めを迎えています。加えて、EUと既に通商協定を結んでいる国々と個別に交渉をしてEUとの合意条件をどの程度継続するのか協議しています。日本とEUの間では、2018年7月に日EU・EPAが署名され、2019年2月1日に発効されました(第4回参照)。新協定が結ばれない場合は、自動車などが対象の関税優遇措置がなくなります。

交渉は6月からビデオ会議にて始まっており、イギリスは日本と自由貿易協定を結ぶことで、将来的に「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP)に加わりたいと期待しています(BBC参照)。

茂木大臣は8月7日、「大半の分野で実質合意し、8月末までの大筋合意を目指すことで一致」とツィート(Twitter参照)。

一方のトラス貿易相も、Reached consensus on major elements of deal inc. ambitious provisions in digital, data and financial services that go significantly beyond EU-Japan deal. Shared aim to reach formal agreement in principle by end August.(デジタル、データ、金融サービスなど、日EU・EPAを大幅に超える野心的な条項を含め主要な要素について合意に達した。基本的には8月末までに正式な合意を目指している)とツィートしています(Twitter参照)。

通常は数年かかる貿易交渉ですが、今回の日英交渉は急ピッチで進んでいます。

また英ラーブ外相(Foreign Secretary Dominic Raab)とも会談が行われ、新型コロナ対策や安全保障・防衛における協力について議論が行われたとのこと(Twitter参照)。

今後のイギリスと日本の関係がますます強化されていくことは間違いなさそうです。また、新型コロナウイルスの影響で途絶していた閣僚の外国訪問が半年ぶりに再開したことも通訳者にとっては嬉しいニュースです。

まだ心配な状況は続き、一般の人が自由に移動できるまでは時間がかかりそうですが、安全を確保した上で少しずつ対面会議(face-to-face meetings)も増えるといいなと思います。

2020年8月10日

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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