INTERPRETATION

ありがちな怪我

木内 裕也

オリンピック通訳

スポーツに怪我はつきもの、とは言いますが、一流の選手であればあるほど、怪我を予防するケアに時間を費やしています。そのための予防、それでも怪我をしてしまった時に使える表現をいくつかご紹介します。

Injury preventionは怪我の予防。Warming upやCooling downはとても大切な要素です。一言にウォームアップと言っても、実はいろいろな種類があります。Stretchingは「ストレッチ」とも言われるので馴染みがありますね。Static stretchはストレッチした姿勢を例えば30秒など、一定時間維持するもの。運動の苦手な人でも気軽にできるストレッチです。Ballistic stretchはそこに動きが入ります。例えばハードル競技の選手がジャンプの動きを入れるなど。Dynamic warm-upも、ストレッチをしながら動きが入ります。血液循環が促進され、怪我の予防につながります。そしてBasic warm-upなら、10分間程度、軽負荷の有酸素運動を行うこと。ジョギングかもしれませんし、ジムで自転車を漕ぐかもしれません。心拍数も体温も上昇するでしょう。このように、どの競技でも行えるウォームアップもありますし、重量挙げの選手が軽めの重りを挙げる、というのもウォームアップの1つです。

これらに比べて、少し馴染みが無いかもしれないのが、Functional warm-up。メディシンボールと呼ばれる、重さのあるボールを使ったり、ストレッチバンドを使ったり。コアの筋肉に効く運動を行います。もしかすると、スポーツ選手が競技前にコアトレーニングのようなことをしている姿を見たことがある人もいるかも知れません。

また、ウォームアップにはActive warm-upとPassive warm-upがあります。Active warm-upは上記のように、個人が何かの活動をして体温や心拍数を上げること。Passive warm-upとは、ヒーティングパッドであったり、温水に浸かるなどすることで、例えば筋肉の温度を上げたり、血液の循環を即すことです。なかなかアマチュアのスポーツでは、Passive warm-upは見かけないかもしれません。

十分にウォームアップをしても怪我をしてしまうとはあります。He’s injured.やHe’s hurt.はよく聞かれる表現です。He’s out.とだけ言われることも。He will be out for a few weeks.といえば、数週間は怪我を治すのにかかるということ。カジュアルな表現ですから、運動再開まで数週間なのか(競技復帰にはもっとかかります)、競技復帰(例えば試合に出られる)まで数週間なのかははっきりとわからない表現です。怪我をした後にはRecoveryが必要になります。Functional warm-upで使うような器具を使って、コアの筋肉を強くしたり、失った筋肉を取り戻したりといった、様々な努力が必要になります。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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