INTERPRETATION

ワクチン用語

木内 裕也

オリンピック通訳

海外からの観客を迎え入れずに開催されるとしている東京オリンピックですが、スタッフや選手などについては海外からも多くの人が入国します。そのような状況の中で話題になるテーマの1つはコロナウイルスのワクチン。日本は接種がなかなか進まないですが、アメリカなどではかなりの人が接種をしています。

ワクチンはVaccination。カタカナでそのまま「ワクチン」といっても通じないでしょう。接種という意味で、Inoculationということもあります。VaccinatedやInoculatedのように受動態にすれば、「接種を受けている」という意味になります。You must be vaccinated in order to …のように表現すると、「〇〇するには、ワクチンの接種が必要」の意味。

また、単純にShotも使われます。Have you gotten your flu shot yet, this year?「今年はインフルエンザ予防接種をすでに受けた?」などは毎年のように聞かれる表現です。

ワクチンを接種することで免疫ができます。免疫はImmunityといいます。I am immune to…という表現は、「〇〇に免疫がある」という意味ですが、日常会話では「〇〇には左右されない」「影響を受けない」という意味でつかわれることもあり、「〇〇なんて、自分には大したことない」という意味でつかわれることもあります。Boost my immune systemは「免疫力を上げる」の意味。「オレンジジュースを飲んで、風邪に対する免疫を上げる」といった日常的な会話でも使われます。IncreaseやEnhanceといった動詞を使ってもわかってもらえますが、Boostが使われることがほとんどです。

ImmunityにHerd(群れ・集団)という単語を付けてHerd immunityとすると、「集団免疫」の意味。新型コロナウイルス前はあまり知られていなかった表現かもしれませんが、最近ではよく耳にしますね。

ワクチンを接種すると、それなりの副作用(Side effects)もあります。わたくしもワクチンを接種しましたが、注射された場所が数日は少し痛みました。しかし人によっては倦怠感があったり、場合によっては血栓ができたりという事例もあるようです。倦怠感はFatigue(疲労)やFeel tiredと表現されることが多いです。眠気や疲労で足元がふらつくような場合には、Groggyという表現もあります。眠気を促進する風邪薬などを飲んだ場合に、頭がぼーっとすることがありますが、これがGroggyです。

ワクチンを受けた証明はCertificateと呼ばれますが、Vaccination passportというアイデアも出ています。つまり、ワクチンを受けた人はそのパスポートをもって、ある程度自由に移動が許されます。海外旅行のパスポートと同じで、それを持っていないと、移動ができないというシステム。ただ、様々な理由でワクチンを打ちたくても打てない人がいる現状もありますので、どこまでPassportが実現するかは未知数です。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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