TRANSLATION

Vol.43 女性が元気になる翻訳本をもっと世の中に送り出したい

ハイキャリア編集部

翻訳者インタビュー

森田由美 Yumi Morita

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英日フリーランス翻訳者

東京在住。

京都大学卒業。

数多くのビジネス文書、実用書の出版翻訳を手がける森田さん。弊社では医療分野の単発の依頼ではいつも頼りになる存在です。

電話ではいつも柔らかい声でご対応いただくのですが、声とは裏腹にいつもスケジュールはパンパン!そのバイタリティはどこからきているのか色々お伺いしました。

Q 森田さんが英語と深くかかわるようになったきっかけを教えてください。

A 子供のころ、2~3歳はアメリカにいたのですが当然ながらまったく覚えていないんです。その後は普通に小中高と日本の学校に行きました。

ですから英語と深くかかわるきっかけといえばやはり大学に入ってからですね。海外旅行に行ったときに「話してみると意外に英語が通じる」という体験をしまして、と言っても税関でパスポートを提示するときだったりショッピングのときに話すといったレベルですが、それがすごく面白くて帰国してすぐに英会話学校に行きました(笑)その翌年には短期ですが2ヶ月留学をしました。大きな転機は留学先のイギリスから日本への帰りでした。フライト時間が15時間もあったのですが日本から持参した本はすべて読んでしまっていたので空港で当時出ていたカズオイシグロの「The Remains of the Day」を買いました。原書なんか読めるわけがない、と思っていたのにこれがスルスル読めたんですね(笑)

それがきっかけでいろいろな原書を読むようになって、やがて「これを日本語にしたい!」という思いが芽生えたんです。でも、そう思ったときはすでにまったく違う分野の会社に就職が決まっていたので一度は会社勤めをしてみよう、と思いながら並行して英語の勉強は続けていました。好きな原書を読んだり、英会話学校に行ったり、翻訳の通信添削を受講したりしながら会社勤めを5年ほどしました。そして、やっぱり会社勤めは向いていないな~、やっぱり英語にかかわる仕事がしたいと思い(笑)方向転換を図ったんです。派遣会社に登録してほどなく外資の製薬系の会社での翻訳の仕事が決まりました。

         

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Q その会社での経験はどうでしたか。

A 大変でした(笑)製薬会社だったので覚えること、教わることがたくさんありました。医薬系をもともと希望していたわけではなく、むしろ勤務地は新宿希望です、とかそんな感じでしたので(笑)

でも、オンサイトでの翻訳は本当にいい経験になっています。今まで勉強としてしか翻訳をやってこなかったので学ぶことが本当にたくさんありました。

でも、その会社が合併して新しい会社になったときに翻訳の仕事が少なくなったり、第一子を妊娠していたので自然と在宅翻訳での仕事を探すことになったんです。

フリーになったきっかけはすごく古い話なのであまり覚えてはいないのですが派遣先から在宅で翻訳するなら仕事紹介するよ、と言っていただいたりしました。きっといろいろなところで在宅翻訳をしたいと言い回っていたのかもしれないですね。

今は数社登録しており、医薬専門の1社と幅広くいろいろな分野の翻訳を請け負っている1社がメインでしょうか。

Q 森田さんにとって翻訳の面白さはどこにありますか。

A いただける仕事の内容によっていろいろな知識が得られることが面白いです。

分野を絞ってお仕事される方もいらっしゃいますが、幸か不幸か私はそういうタイプではなくいろいろな内容を幅広くやってきましたので(笑)今自分で得意にしているのが、児童虐待、精神疾患、ビジネス書、育児書、御社でのお仕事ですとまったく見たこともない(笑)新しい医療機器もそうですね。

でも、新しい医療機器を得意分野にしている人なんてそうそういないと思いますけど、最初は大変ですがそこをがんばっておくと続いて同じようなお仕事をいただけるので最初にがんばって身につけた知識が役に立ちますね。日々勉強ですね、ほんとうに。

単発のお仕事と出版翻訳は納品後の爽快感が違うので(笑)それぞれに魅力がありますね。短距離走と長距離走のような違いとでも言うのでしょうか。

あとは私自身が文章を書くのが好きですのでやはり日本語の表現を考えるのは楽しいですね。

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↑ 森田さんが最近翻訳された2冊。

Q 失敗談があれば教えてください。

A 一番記憶に残っているのは3年前なのですが(苦笑)

納期に遅れたことは一度もないのですが、短い契約書だったのですが・・・・クライアントさんの社名が1箇所だけ出てきたのですがその社名を間違えてしまったことですね。しかもその間違って訳した社名が同業者でしかも犬猿の仲だったようで・・・・・お叱りを受けました。いまだに忘れられない失敗談ですね。固有名詞は本当に気をつけないといけないですね!!

Q リフレッシュ方法はありますか。

A 一日中仕事で座りっぱなしは無理なので、わざと外出する用事を作ることですね。仕事の合間に銀行に行ったり(笑)、買い物に行ったりするような日常の用事をわざと休憩として入れます。4月から8月はたいていそんな感じですね(笑)子どもが小さいので夏場は家事の合間に仕事をする、という感じです。11月から2月の年度末は「死のロード」が待っていますので(笑)上半期はリフレッシュ期間でしょうか。

あとは週末や時間ができたときは好きなピアノを弾いています。本当はスポーツとかできたらいいんですけど(笑)

私が勝手に思うには翻訳者は脳の中の言語を司る領域を頻繁に使っていると思うので仕事をしていないときは言葉を使わないことをやったほうがいいのかな~と思っています。

Q 今後の目標を教えてください。

A 今までもそうですが、これからも女性が読んで元気になれる実用書や啓発書をもっともっと翻訳していきたいです。読んだ後の感想などを聞くと本当にやりがいを感じます。

Q 翻訳者を目指している方へアドバイスやメッセージをいただけますか。

A 翻訳以外にできることを増やしてみてはどうかな、と思います。翻訳者だから翻訳はできて当たり前だと思うのです。私より翻訳が上手な人はたくさんいると思います。でも「この人に頼んでみたい」と思ってもらえる翻訳以外の何かを持っていることは大事だなと思います。

2つ目は、スキル的なことではないですがニッチでもいいので専門的な知識を突出して持っておくことです。その知識がいつどこで翻訳をするうえで役に立つかわからないからです。翻訳は「これ誰に頼もう???!!」という内容が本当に発生するので(笑)いろいろな引き出しを持っておくことは本当に大切ですね。(とこの後みんなでマニアックな依頼内容で延々盛上がってしまいました!)

編集後記

「こんな話面白いですか?」と何度もこちらを気遣っていただきましたが爆笑の連続のインタビューでした(笑)2人のお子さんを育てながらの翻訳業は本当に大変だと思うのですがどちらもすごく楽しんでバランスをとってやってらっしゃるのが伝わってきました。そしてそれをさらっと話される森田さん。只者ではない「癒し系」を感じました(笑)これからもどうぞよろしくお願いいたします!

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ハイキャリア編集部

テンナイン・コミュニケーション編集部です。
通訳、翻訳、英語教育に関する記事を幅広く発信していきます。

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