HOME > 通訳 > 通訳者インタビュー > Vol.52 「ワークはライフ、ライフはワーク(後編)」

Training Global Communicators

Vol.52 「ワークはライフ、ライフはワーク(後編)」

【プロフィール】
宮原美佳子さん Mikako Miyahara
広島県在住。大学を卒業後、システム会社にてSE勤務。二人のお子さんを出産後、一緒にオーストラリア留学。自動車製造企業でのインハウスを経て、現在フリーランス通訳者としてご活躍中。

*前編はこちら⇒ http://www.hicareer.jp/inter/interview/vol52.html

Q10、通訳の面白さ、やりがいはどんなことですか ?
私は地方にいるので、アテンド的に長期同行させていただくお仕事をよくいただきます。すると、お客様と深くお知りあいになれる機会が多くあります。どんな内容であっても、情熱をもってお仕事をしているお客様とお仕事をすることが本当に楽しいですね。エネルギーを持って、ダイナミックかつクリエイティブに取りくまれている方にお会いできることが、とても刺激になっています。海外からのお客様に付かせいただく場合も、私が海外に同行させていただく場合もそうなのですが、みなさんアウェーに飛び込んでいくことに投資されている分「ビジネスを成功させてやろう、役に立とう」との気持ちが一層強いと感じます。

miyahara-interview.jpgのサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像

Q11、通訳者になっていなかったら?
一つ覚えているのは、大学時代の友人に、「あなたって社会人になったらどんな人になってるんだろうね」と言われて、お母さんにもなりたいけど、仕事もバリバリしてバリバリ遊びたいと答えていました(笑)すごく欲張りなんです。でも、そういう意味では、今ある程度それが実現できているのかなと思います。ワークライフバランスという言葉がありますが、私の場合は切り分けられないですね。
私にとって、ワークはライフだし、ライフはワークというところがあって。少しおこがましいですが通訳という仕事は天職と言えるかと思います。通訳になっていなかったらということは想像がつかないですね。まだまだ通訳人生の先は長いと思っていますが...。

Q12、休日の過ごし方、リフレッシュ方法があったら教えてください。
車の運転が好きです。最近13年乗った車を買い替えて、ちょっと運転の楽しい車を買いまして(笑)
今まで大きめのステーションワゴンだったのですが、今回は少し小回りの利くものを買ったので、一人でドライブに行ってしまいます(笑)
それと、翻訳をきちんと勉強したことがなくて、ずっと我流やってきたところがありましたので、改めて翻訳技術関係の本をしっかり読むようになりました。新しい翻訳技術、手法を学んだり、自分がこれまで無意識にやっていたことを翻訳技術として再発見して、応用の範囲を広げられる可能性を知るなど、とても楽しんでします。また、もともと読書量が多くありませんでしたから、分野を問わず読書量を増やして興味のある分野を広げていければいいなと思っています。

Q13、将来の夢、目標はありますか?
国際会議レベルの通訳者になりたいという夢は、確かにあります。ただ、単にレベルが高いという通訳というだけでなく、社会貢献できるようなお仕事をしたいです。会議の内容が世界平和に関わるものや、漠然としていますが、何か大義のあること、誰かの役にたつこと、社会全体の役に立っていると実感できるようなお仕事をしたいですね。そのためには、まだまだ自分は上手くならなければならないし、まだまだ上手くなれると信じています。

Q14、現場で活用されている物はありますか?
絶対に手放せないのが、iPhoneです。地図アプリや乗り換え検索アプリでホテルやお客様までの道のりを確認したり、もちろん、電話やメールでエージェントやお客様と連絡を取ります。メールはPCメールの受信ができるため、どこにいても急な案件にも大きな遅延なく対応できます。、スケジュールの管理、確認から実際の通訳現場での実作業サポートまで全部iPhoneでできるというのは助かりますね。通翻訳者は情報にどれだけ近いかが勝負になります。例えば、会議の中に入ってもインターネットにつないで、Wikipediaなど広く情報を入手できるということは大きなメリットです。辞書は2つ英辞郎と大辞林とジーニアス英日日英アプリを入れています。。また、ストップウォッチ、キッチンタイマー機能もあるので、タイマーを現場に持っていかなくなりました。さらに、iPhoneを持ってから、移動時間や細切れの空き時間も、電子書籍を読んだり、あらかじめiTunesから同期しておいたCNN/BBCニュース放送や、有名な大学の無料講義を聴いたり、有効活用できるようになりました。資料の印刷も、ネットプリントというアプリを利用して、コンビニにあるネットプリント用コピー/印刷機に転送して印刷することができます。また、購入当初はタッチパネルでの入力にストレスを感じていましたが、Bluetooth対応の折りたたみキーボードを購入してからはそれもなくなりました。翻訳や通訳案件の準備作業などで自宅での作業に飽きてしまうと、iPhoneとキーボードを持参して近所のカフェで作業します。本当に小さなPCを持って歩いている感じです。

Q15、宮原さんはTwitterを有効活用されているとお聞きしましたが?
Twitterをはじめて、通訳者どうしの横のネットワークがだいぶ広がりました。それまでは、お仕事でご一緒した方としか知り合う機会がありませんでしたが、Twitterをするようになってから、地方のお目にかかったことのない通訳者さんとも知り合うことができるようになりました。また興味の方向が同じなのでで、自分にとって有益な情報が入ってきます。最初は自分から働きかけるのが、すごく気が引けるように思っていましたが、今はこうした横とのつながりが私には欠かすことができない物になっています。。というのも、フリーランスは何でも自分でやって行かなくてはいけませんが、初めてやることにはみなさん恐る恐るだと思います。駆け出しの頃は、交代の合図の出し方や、順番の決め方といった初歩的(?)なことでさえみなさんどうやっているのか聞きたくて(笑)最近では確定申告のメリットを教えて頂いたり、スキル維持向上に役立つインターネットサイトを教えて頂くなど様々な面で役に立っています。もっと通訳者のネットワークを作る仕組みがあればいいなと思いますが、今はそれをTwitterに求めています。今のところTwitterだけでなく、翻訳通訳関連のメーリングリストに登録して情報収集するなど、ネット活用は上手くいっていると思いますし、もっと活用できる方法を、これからさらに考えみたいと思います。

miyahara-interview2.jpg

Q16、通訳を目指している方へ、何かメッセージをお願いします。
とにかく諦めないことです。振り返ってみると、私は通訳学校に入学した時には実は心のどこかで「通訳になりたい」と思っていたような気がします。でも、通訳者になるということは、私にとってあまりに雲の上過ぎて、なかなか自分の気持ちに正直になれない時期が長かった。今はもっと早く自分の気持ちに向き合えば良かったと感じています。例えば、英語を勉強している人で、少し話せるようになれればいいな、と言っていても、本当は心の隅で通訳という仕事に憧れている人は沢山いるのではないでしょうか。実際、通訳の仕事についてみても思いますが、厳しい道ではあるけれど、やりがいと魅力のある仕事です。正直になるのは早い方がいいです。諦めなければ、絶対道がつながってきますよ。
それと、一旦通訳という肩書きで仕事についたら、どこへ行ってもプロ意識を持って取り組んでほしいです。社内通訳になりたての時期など、社内用語が分からなかったり自分のスキル不足を思い知らされたり本当に辛いこともあります。ですが、プロとして仕事する以上はペアの人に全て代わりにやってくださいというわけにはいかない。自信の無さからそういうことを言ってしまう方がいますが、フリーと違って社内通訳のときは、必ず明日も仕事があります。だから、自分の仕事は絶対人にはやらせない、というくらいのつもりで当たって粉々になるつもりで取り組んで下さい。粉々になったところで、死んだりしませんから(笑)!そこで辞めてしまわずに、社内通訳だからできるわがままだとか、無理だとかをフル活用して、絶対に諦めないで頑張ってほしいなと思います。

また、地方で通訳を目指しながら市場がないことを悲観して、キャリアを諦めてしまった人を何人も見てきました。実際、私も広島在住ですが、地元の仕事は非常に少なく、じっとしていたのでは仕事にはありつけませんでした。でも、どうやったら仕事を続けられるのか?取れるリスクのレベルを考慮した上で、自分から提案を持ちかける形で東京のエージェント何社かにアプローチをかけ、おかげさまで複数のエージェントと仕事をさせて頂くようになりました。
プロとしてのスキルを維持向上させていくことは必要です。先ほども言いましたが、私もまだまだ上手くならなければ!と肝に銘じています。でも、同時にフリーランスには「将来自分はどんな仕事がしたいか?」をベースにして「どうやって仕事を取るか?」という戦略を常に練りながら進んでいく、そういう側面が必要です。
それが出来れば、「地方だから...」は諦める理由にはなりません。地方の通訳を目指す方にも十分道が開けると言うことを、知って欲しいと思います。

編集後記:
普段は柔らかな雰囲気の宮原さんですが、今回のインタビューでは、通訳に対する熱いお気持ちがひしひしと伝わってくるようでした。特にIT機器を通訳の現場でフル活用されているお話は、まるで通訳のIT革命のようで、今後どのような画期的な活用法が生まれてくるのか、聞いているだけでドキドキしてしまいました。
東京でのお仕事の合間に、快くインタビューをお引き受けいただき誠にありがとうございます!
これからもどうぞよろしくお願いいたします。


通訳者インタビュー


↑Page Top