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節税をしない経営

工藤浩美

テンナインヒストリー ~挑戦への軌跡~

私は起業当初から基本節税はせずに法人税を払って、キャッシュを社内に内部留保をする経営を続けてきました。投資をする時は目の前に100万円が貯まったら、その100万円を使って何が新しい事をする。広告費は売上の1%未満、年間接待費が14万の時があり税理士さんに驚かれたこともあります。

亀が体の成長に合わせて少しずつ甲羅を大きくするように、私も一歩、一歩進んで来ました。投資家から資金調達を募ったり、銀行からお金を借りてレバレッジを効かせて成長戦略を描くのは、私の経営スタイルには合いませんでした。人材サービスなので、大きな投資がいらなかったという背景もあります。

節税のために高級車を買うようなことも決してしませんでした。法人でも個人でも税金を気にするような人は成功しないと思っています。いつも頭の中にあったのは、万が一の時のためになるべく現金を貯める経営でした。会社は法人税を払わない限り、キャッシュが貯まらない仕組みになっています。どんな節税方法も、確かに節税効果で税金は安くなるけど、必ずキャッシュアウトしてしまうのです。税金を払って万が一のためにキャッシュを貯めて、その考えを元に無借金経営を続けてきました。個人の報酬も20年間ずっと半分を貯蓄に回しました。万が一会社がキャッシュアウトする状態になった時、会社にキャッシュを入れるのは経営者だけだと思っているからです。

ただ最近気づいたのは、企業価値を計算する場合、キャッシュの評価は1=1です。つまり1000万のキャッシュの価値は、ジャスト1000万なのです。例えばその1000万をもとに新規事業を立ち上げたり、システムを作ったり、仕組みを作れば、2倍でも、10倍でも企業価値が上がる可能性があるのです。

これからは現金を貯めるというより、企業価値を上げる経営を目指します。経営者にとっては当たり前の事かもしれませんが、最近やっとその事に気付きました。2022年は新しいステージ!未来の事業に向けて投資する予定です。

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記事を書いた人

工藤浩美

白百合女子大学国文科卒業後、総合商社勤務。
その後通訳・翻訳エージェントに2社、合計11年間勤務。通訳コーディネーターとしてこれまでに数百件の通訳現場のサポートを行なう。 2001年7月に株式会社テンナイン・コミュニケーションを設立。趣味はシナリオ執筆。

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