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最高の朝食

工藤浩美

工藤浩美の東へ西へ

夫からフランスで開催されるPBPレースに出場したいと言われたのが2年前。「2023年パリで開催されるPBPに出場して完走する」というのがいつしか二人の夢になり、バケットリストの最初のページに書き込みました。

(街中お祭り騒ぎ!サイクリストがいっぱい)

パリ-ブレスト-パリ(通称:PBP)はパリ郊外をスタートしブルターニュ半島の先端の街ブレストまで、片道600km往復1200kmのコーを自転車で走るサイクルイベントです。1891年に最初に開催され、4年に1度開かれる世界最古の自転車レースで参加資格もとても厳しい。200、300、400、600キロの国内ブルべを完走てSRという称号を取り、そこで初めてPBPにエントリーすることができます。

(ランブイエ城の中の公園が受付会場)

レースはパリから100キロほど離れたランブイエという小さな街からスタート。全世界から7000名ぐらいのサイクリストが参加するので、スタート近辺のホテルはどこも満室で、私たちは9キロ離れたB&Bを予約しました。

(とても素敵なB&Bでした)

そこの宿泊客はいろんな国のPBP参加者またはその家族でした。レース前日夜はみんなで情報交換ができてとても楽しいディナーでした。

(前日のディナーはB&Bの素敵な庭で!)

 

 

(素朴でとても美味しい料理の数々)

こちらのゲストのうち、制限時間内に完走したのは夫だけだったので、いかに過酷なレースかは想像できます。

スタートは8月20日の20時、まだ空は昼間のように明るく、15分刻みに100名ぐらいのライダーが続々と長い旅に出かけていきます。

私は「iPhoneを探す」の機能で、数時間ごとにフォローしていました。結果は制限時間90時間の中、78時間48分でゴール。レースの様子を聞きながら食べた翌朝の朝食は、人生の中で最高の朝食になりました。

マラソンと同じでロングライドは最初にいかに飛ばさないかが重要な鍵になるのですが、高速トレイン(何台もの自転車が連なって走る)につい乗ってしまい、飛ばしすぎて440キロ地点のチェックポイントで軽く仮眠するつもりが8時間も休んでしまい、2日目は足切り2分前でぎりぎりスタート。

ロングライドでは約25000カロリーを消費するので、エネルギー切れでハンガーノックにならないように常に補給します。非常食にはドーナツや水で戻せるアルファー米、ようかん、ラムネ、エネルギーバーを持ち込み、他チェックポイントで補給。最後の数十キロは非常食も底をつき、ラムネと、ようかん1本、漢方とバファリン2錠全部飲んでトレインを先頭で40キロ巡行で引き、無事フィニッシュ。

息を飲むほどきれいなフランス郊外の景色の中、明け方は寒さと霧に包まれたり、いろんな国のライダーと引いたり、引かれたり、とてもいい経験になったそうです。

私も40代後から海外マラソンに何度か参加した経験があるので、当時のことを思い出してその場にいるだけで心はずっとワクワクしていました。

 

最後にパリで10年ぶりに再会した通訳者がすてきな言葉を送ってくれました。

Choose to be happy.

Grow into freedom.

Have fun!

 

 

 

 

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記事を書いた人

工藤浩美

白百合女子大学国文科卒業後、総合商社勤務。
その後通訳・翻訳エージェントに2社、合計11年間勤務。通訳コーディネーターとしてこれまでに数百件の通訳現場のサポートを行なう。 2001年7月に株式会社テンナイン・コミュニケーションを設立。趣味はシナリオ執筆。

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