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通訳の世界は奥深い

工藤浩美

工藤浩美の東へ西へ

通訳者のトレーニングはまず逐次通訳から始まり、その後ウィスパリングや同時通訳を練習していきます。

「逐次通訳は出来るのですが、同時通訳はまだやったことがありません」

「同時通訳は難しくて、なかなかスピードについていけません」

「ウィスパリングの経験はほとんどありません」

という相談をよく受けます。

逐次形式では会議時間が2倍になるので、通訳現場は同通またはウィスパリングで行われることが多いのです。それに対応できないと受けられる会議がかなり限られてしまいます。一度同通未経験の通訳者を、彼女のポテンシャルを信じて同通必須の長期ポジションに推薦したことがあります。なんと彼女はコツをつかんで一か月でウィスパリングができるようになりました。

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しかし逐次に比べて同通の方が難しい訳ではありません。同通技術を極めているTOPクラスの通訳者は必ずこう言います。「通訳は逐次に始まり、逐次に終わる」

私は昔ある大きなレセプションでのスピーチ逐次通訳のご依頼で、TOPクラスの通訳者を手配したことがありました。しかしエグゼクティブスピーカーは通訳者がいるのをすっかり忘れて、15分間ぶっ続けで英語でスピーチをされたのです。誰も止める人はいませんでした。会場には英語のスピーチだけが流れました。スピーチが終わってスピーカーが立ち去ろうとしたその瞬間、やっと通訳者がいたことに気づかれました。

すると通訳者はよどみなく逐次で日本語に訳だしをはじめました。メモを一枚、一枚、めくりながら通訳するパフォーマンスは素晴らしく、しばらくすると周りも「通訳者はスピーチ原稿を読んでいるのではなく、自分が書いたメモを頼りに15分間逐次通訳をしているのだ」と気づき、感嘆の声が洩れました。舞台袖で見守っていた私も鳥肌が立ちました。

通訳の世界は本当に奥深いと思います。

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記事を書いた人

工藤浩美

白百合女子大学国文科卒業後、総合商社勤務。
その後通訳・翻訳エージェントに2社、合計11年間勤務。通訳コーディネーターとしてこれまでに数百件の通訳現場のサポートを行なう。 2001年7月に株式会社テンナイン・コミュニケーションを設立。趣味はシナリオ執筆。

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