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What’s your New Year’s resolution?

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 ブログをご覧の皆様、あけましておめでとうございます。
 「新年」で思い出すのが上記の英文。このフレーズを初めて聞いたのは小学校3年生の3学期始め。当時私はオランダのインターナショナルスクールに通っていました。オランダといえばクリスマスよりも12月6日の聖ニコラウス祭が主流。大晦日も除夜の鐘ではなく、盛大な花火がドンパチ上がるという国です。日本とは少々異なる年末年始の趣の余韻を引きずりながら突入した3学期の英語クラスでのこと。ワークブックに‘What’s your New Year’s resolution?’とあったのでした。
 今から30年ほど前には電子辞書はおろか、子供用の英和辞典すらないような時代でした。当時の主流辞書は三省堂のコンサイス。和英は紺の表紙で、今のようなひらがな引きではなく、ローマ字で引いていたのです。当然、小3の子どもにとって辞書はあてにならず、頼れるものは勘だけでした。
 ワークブックにはこのフレーズの下に例文として‘I will wake up early’とか‘I want to study hard’あるいは‘I will help my mother everyday’などとありました。これを読みながら子供心に「うーん、『やりたいことや、やらなければならないこと』を聞いているのかなあ」と推測したのを覚えています。そのときは前後の文脈から意味を仕方なく想像するしかなかったのですが、大人になり、通訳翻訳業に携わったり学校で教えるようになったりしてみて、実はこの「推測する」ことが語学学習の大切な基本であると改めて気づかされています。結局そのとき私がどのような答えをresolutionとして書いたかはもう覚えていないのですが、北向きの小教室だったこと、壁には世界地図が掲げられていたこと、ワークブックがA4横長サイズだったことだけは今でも鮮明に覚えています。
 さて、今年。New Year’s resolutionを決める時期がやってきました。今年度の私のテーマは「文武両道」。高校の教育理念のようですが、あくまでも理想は高く!ということでコレにしてみました。先月17日の日経新聞に日本画家の千住博氏が「半端な体力では仕事にならない。だから芸術家は誰よりも体を鍛えている。魂に響く作品は健全な精神、健康感から生まれる」と書いていましたが、この考えはどんな仕事にも共通しているように思います。きちんとスポーツクラブに通ってスタミナをつける一方、仕事に関しては聞き手の立場を考えながら、よりわかりやすい通訳を心がけたいと考えています。

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記事を書いた人

かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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