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ヴァーチャル・トリップ

ガットパルド(gattopardo)

通訳・翻訳者リレーブログ

世間は夏休み。
秋からのハードスケジュールに備えて8月は準備と予習の月、と決めたはずが・・・なんと旅へのお誘いをいただいてしまいました。以前も何度か一緒に旅行したことのある友人が、北フランスへ行ってみたいというので、ついつい、コーディネート&同行に「ウィ」と返事。
返事をした時点では、なんとなく断り切れず・・・という感じだったのだけど、まずは飛行機を押さえ、訪問希望地のホテルなどインターネットで調べていくうちに、不覚にもムラムラと血がたぎり始めた。
パリを起点に、セーヌ川沿いに大西洋岸に抜け、海岸線をつたって、日数の限界ぎりぎりまで西へ。折り返して内陸ルートでパリにもどる、というコース。セーヌ川というのは、パリの観光地図ではただ市中を東西に横切っているだけだけど、その外で石狩川顔負けの蛇行をくりかえし、北部の平野を潤して下流へと流れていきます。そのなだらかな丘陵地帯の美しい風景と風土は、かずかずの文学作品中に描かれており、実際にそこに行ってみれば「あ〜、あの小説の舞台は、映画のなかの風景は、この土地だったのか!」と、感涙にむせぶ自分が想像できてしまう。
しかし、キーワードを入れて検索すれば、ホテルやレストランの実用的な情報から、鉄道の発着時刻や料金、名所旧跡の見事な写真つきの案内まで、なんでも手に入るのだから、すごい時代になりましたね。週末パソコンにはりついて、気になる項目を次から次へ見ていくうちに、約10日ほどの旅程表が分きざみの精度ででき上がってしまいました。
勝手知ったる国、という強みもあるけど、到着日の夜はホテルの近くに夜10時まであいてるスーパーがあるから、翌日用のミネラルウォーターはそこでさっさと買っちゃえばいい、とか、あの駅は長距離列車のホームに行くのにスロープを使うとやたら遠回りだから、階段のほうがいい、そうなるとヒールの靴よりスニーカーだ、とか、そんなことまで頭の中では自動的に段取りができ上がっていく。私、通訳より旅行コーディネーターのほうがむいてる、絶対。
でも・・・ひとつ、問題が。おおきなおおきな問題が。
つい先日、やっと年始の旅行の荷物をばらし、写真帳をまとめたばかりだというのに、またここで8月に旅、戻ってすぐに仕事詰めの日々・・・ということだと、私の部屋の床にはまたもやその後数ヶ月のあいだ、スーツケースが「寝て」いることになるわけだ・・・
ほら、だれだっけ、ギリシャ神話で重たい岩を山のてっぺんまで運んでは、頂上近くでそれが転がり落ちてしまって、またふもとから運びなおし・・・永遠にそういう運命を背負わされた人がいたじゃない。どうも、私の祖先は彼のような・・・?
でもあれは、なにかの罪の償いとして課された苦役だったはず。と、いうことは、私の罪はいったいなに?
とりあえず、なにも身に覚えはないのですけどね・・・

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記事を書いた人

ガットパルド(gattopardo)

伊・仏・英語通翻訳、ナレーション、講師など、幅広い分野において活動中のパワフルウーマン。著書も多数。毎年バカンスはヨーロッパで!

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