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ブランクの感覚

パンの笛

通訳・翻訳者リレーブログ

 先週の投稿の際に、ブランクが空くと焦燥感が増す、という話を書きました。それを文字にしてみて初めて、一体どれくらいの期間が空くと実際に影響が生じるほどのブランクが空いてしまったと言えるだろう、となんとなく考えるようになりました。一般に、ダンサーなどは練習を一日サボると自分にわかり、二日サボると仲間にわかり、三日サボるとお客さんにわかる、などと言いますよね。翻訳も同じように、すぐにペースを取り戻して、成果物にも影響が出ない程度のブランクと、明らかにペースも落ちて、なかなかあるべき結果が出せない、というときがあります。そこでつらつらと考えていた私の頭に一つ思い浮かんだのが、キータッチ。翻訳の仕事をしていると日がな一日パソコンに向かってひたすらキー入力を行うわけですが、この行動がすっかり性癖となってしまって、今では例えばパソコンに向かっているわけでもなく、人と話をしているだけでも、自分が発した言葉を頭の中でキー入力しているイメージがあるのです。同業者の皆様、もしくはパソコンに張り付いてお仕事をなさっている皆様も、同じような感覚があるのではないでしょうか? とにかく、言語化されたものはすべて、頭の中でキー入力してしまうのです。それはつまり、仕事から離れても、仕事のときのペースでつい頭がフル回転してしまっているのだなぁ、と思うわけです。そこで、問題のブランクです。ちょっとでもお休みがあると、だんだんその「脳内キー入力」のスピード、そして頻度が下がってくるのです。普段はほぼ100%「脳内入力」を行っていますが、ブランクに入ってからの日数が長くなればなるほど、入力することを忘れるようになってくるのです。この状態に至るほど休んでいるのは「ブランクが長い」という目安になるかもしれない、と思うようになったのです。その感覚と、実際の成果物への影響との相関関係はまだ分析しきれてはいませんが…! そんなこんなで迎えるブランク明け。パソコンの前に座ってみて初めて、「そうだった。この感覚。」と一気に普段の感覚に引き戻されるわけです。本当は、四六時中仕事の感覚に囚われずに、上手に切り替えできるのが望ましいんでしょうけどねぇ…。それにはもうちょっと人間としての修行が必要そうです。

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記事を書いた人

パンの笛

幼少時に英国に滞在。数年の会社勤めを経て、出産後の仕事復帰を機に翻訳を本格的に学習。現在はフリーランスの在宅翻訳者。お酒好きで人好き、おしゃべり好きの一児の母。

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